サブプライム問題を乗り越え、欽ちゃん走りが先行きを明るく?景気探検(2/3 ページ)

» 2007年09月19日 07時00分 公開
[景気探検家・宅森昭吉,アイティセレクト編集部]

 7月の景気ウォッチャー調査は7月25日から31日までが調査期間だが、景気の現状判断DI(方向性)が44.7で6月より1.3ポイント低下した。内訳をみると雇用関連は51.2と6月と同じく景気判断の分岐点の50%を上回っていて好調であった。

 7月は雇用の代表的な数字である完全失業率が3.6%と98年2月以来9年5カ月ぶりの低水準となり、雇用環境は厳しさが残るものの着実に改善が進んでいることを示した。

  企業動向関連は47.4で6月に比べ1.2ポイント改善した。7月の生産は中越沖地震の影響で一時的にもたついたものの、8月は大きく伸びることが見込まれることと整合的な動きだ。

 しかし、7割のウエートがある家計動向関連が42.8で6月に比べ2.3ポイントも低下したので、全体が低下してしまったのである。景気ウォッチャー調査のコメントをみると『所得税の定率減税廃止、住民税のアップ、ガソリンの値上げ、年金問題など、消費者心理の冷え込むことが続いているところで、中越沖地震が地元経済のマイナス基調に拍車をかけている。地域的な特殊事情かもしれないが好ましい流れではない(東北=スーパー)』、『住民税の大幅増税、ガソリン代の値上げから、おやつ関係の購入が控えられるため、若干悪くなる(九州=コンビニ)』といったことが悪化要因になっていることが分かる。

 8月に米サブプライムローン問題による株式相場の下落や急激な円高が生じたことから、8月分の消費者マインドの調査内容が気になるところだ。しかし、景気の補助信号である身近な社会現象からは先行きの消費マインド持ち直しの兆しがうかがわれる。

 頑張っている人を素直に応援しようと多くの人々が思う時は、景気後退の最終局面か、踊り場的状況から脱却する直前に当たることが多い。NHKの朝の連続テレビ小説「どんど晴れ」は7月30日に21.7%、8月16日に21.3%と20%超の高視聴率を出している。盛岡の老舗旅館で女将修行に頑張るヒロインを応援しながら見ている人が多いということだろう。

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