PLM実現のために編み出された秘策――情報共有テンプレート特選事例(2/2 ページ)

» 2007年10月31日 12時48分 公開
[ITmedia]
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開発期間が大幅に短縮され、製品の市場投入も迅速に

 効率化が進んだことで、TPTの生産台数も大幅に増えた。もともとPLM構築前と比べて生産台数倍増を計画していたが、さらにそれを上回る生産台数を達成した。

 ISセンターの内田康夫氏は次のように語る。「海外工場は国内に比べて離職率が高く、人員を増やすのも容易ではありません。実際、数年前と比べて人員はほとんど変わりありませんが、ラインを増やして目標の生産台数を上回ることができた。これもPLM構築が大きく貢献しているのではないかと考えています」

東芝 ISセンター エンジニアリングシステム部 参事 内田康夫氏

 PLM構築は、01年度のスタートから数えて7年目を迎えた。ToBeプロセスに加えて、AsIsプロセスを活かす形で構築を工夫したこともあり、現場にもしっかり定着。ただ、これはまだ通過点だ。

 「販売や企画などの部門からは、せっかく設計中心のデータベースができたのだから、それをこちらで使いこなすため仕組みが欲しいという声があがっています。それが実現できれば、PLMのリンケージがつながり、より効果的な製品のマネジメントができるはずです」(内田氏)

 今後は「東芝テンプレート」や、グループへの展開で蓄積された構築・運用ノウハウを外部に提供することにも力を入れていくという。

ニーズに素早く対応するものづくりの実現

 肥後野氏はPLM構築の目的について次のように語る。

 「メーカーの使命は、良いものを安く、いい品質でタイミングよく作ることです。そこで重要なのは開発設計の情報。その情報を、製品をお客様にお届けするまでに関係する部門に精度よく伝えられれば、それぞれの現場で有効活用できるはずです。開発の途中段階でのさまざまな変更要件などが、遅れや漏れのない形で、各現場でスムーズに把握されていることを実現していれば、最終的にはお客様へのニーズを満たすことができるのです」

PLM/CPCソリューションの考え方

 内田氏はPLM構築に伴う東芝独自のテンプレートの作成について次のように話してくれた。「ものづくりの現場には、明文化されていないノウハウがあります。それをデジタル化して誰でも使えるようにするのがPDMの目的の一つですが、ToBeプロセスとして表現する『MatrixBPA』では現場の暗黙知を吸収しきれない。そこでAsIsプロセスを活かすために開発したのが『東芝テンプレート』です。社外の各方面でも良い評価をいただいています」

 「東芝テンプレート」は、東芝が積み上げてきた現場の暗黙知を表現する良いツールになったといえる。同社では、他のメーカーにも積極的に使ってもらい、現場のノウハウがIT化されてフィードバックされ、さらにツールが磨かれて進化することを期待しているという。

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