【第3回】PLMシステムの妥当な価格はいくら?大企業以外でも見えてきたPLMの価値(2/2 ページ)

» 2007年11月19日 09時01分 公開
[Maryfran Johnson,ITmedia]
前のページへ 1|2       

SaaS方式という選択肢

 ベンダーや業界アナリストによると、オンデマンドやSaaS方式にすれば、PLMのコストは伝統的な社内実装の3分の1程度に抑えられるという。ただ、ユーザーの多くが、データセキュリティや知的財産の管理と保護に大きな懸念を抱いているのも事実だ。

アリーナ・ソリューションズ オンデマンドでPLMソフトウェアを提供するアリーナ・ソリューションズ

 そうした懸念を、中堅・中小企業計270社はカリフォルニア州フォスターシティにあるアリーナ・ソリューションズと契約を結ぶことにより、打ち消している。アリーナはPLMソフトウェアで最有力のオンデマンド・プロバイダーだ。

 同社のCEO、マイケル・トポロバック氏は「競合という点では、われわれもまだExcelのスプレッドシートに負けている。この市場はまだ発展途上だ」と言う。

 アリーナの顧客の場合、平均的な契約金額は2万5000〜3万ドル、最低で5000ドルだ。「10万ドルのPLMソフトウェアシステムを購入した場合、そのシステムを運用するために必要なITインフラの構築や保守、人員の確保には、同じくらいのコストがかかる。オンデマンドなら、そうしたコストはゼロだ」(トポロバック氏)。

 ボストンのカラー・キネティクスは、売上高5300万ドルのデジタル照明メーカー。オンデマンド方式を早くから採用した企業の1つだ。同社は2001年、アリーナの2番目の顧客として契約を結んだ。ドットコムバブルが弾け、会社の機密データを他社のシステムに依存することは「極めて危険」だと考えられていた時期だ。

 カラー・キネティクスのCTO、フリッツ・モーガン氏は、その時のことをこう思い返す。「最悪のケースを考えた。ここで失敗しても、少なくともわれわれのデータはすべて構造化したフォーマットに収められる。そのときは別のPLMシステムを探そう」

 当時、エンジニアリング担当副社長だったモーガン氏は、「ただ、われわれは世界中のどこにいてもWeb経由でアクセスできるシステムが、どうしても必要だった」と話す。そしてモーガン氏は、3社の異なるシステムを部下のエンジニアたちに検討させた。「結局、エンジニアたちがOKしなければ、システムは無意味だからだ」と、モーガン氏もまた、PLMシステムに関する金言を口にする。

 アリーナのサービスは、まだ利益を出していない非公開の企業にとっても手が届きやすい選択肢だった。カラー・キネティクスは現在、1シート当たり約1000ドルを支払い、1万点以上の製品情報をアリーナのシステムに保管している。

 「中国などの販売店も、すべてこのシステムにオンライン接続している。特別なソフトウェアなしで利用できるため、彼らからの評判も上々だ。弊社のIT部門がこのシステムを気に入っているのは、まったく手がかからないから」と、モーガン氏は言う。

前のページへ 1|2       

Copyright© 2007 TechTarget, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆