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» 2007年11月26日 10時00分 UPDATE

大企業以外でも見えてきたPLMの価値:【最終回】激しさ極まる新製品開発 それでもPLM抜きで戦うのか (1/2)

技術革新が激しいエレクトロニクス業界は、新製品のライフサイクルはわずか18カ月と短い。世界最大のヒューズメーカーのCIO、ジャン・ラヘイン氏は「常に新製品を開発していかなければならない。そのためには、優れたPLMソフトウェアが不可欠」と話す。

[Maryfran Johnson,ITmedia]

 中堅企業のPLM事情に見えてきたもう1つの変化は、意思決定権を持つ人々の関与だ。PLMアプリケーションはいまも高度に技術的なものだが、「エンジニアではない人もPLMアプリケーションを利用するようになった」と、PLM専門コンサルティング会社、CIMデータのリサーチディレクター、ケン・アマン氏は語る。そのため、「導入においてCIOなどCxOレベルの意思決定者が関与するケースが増えつつある」という。

世界最大のヒューズメーカーの挑戦

 年間売上高5億3500万ドルの世界最大のヒューズメーカー、リトルヒューズのCIO、ジャン・ラヘイン氏は、PLM導入の意思決定プロセスで中心的な役割を担うことになった。シカゴに本社を置き、世界の32地域で計1万社以上の顧客を持つが、技術革新が激しいエレクトロニクス業界にあって、新製品のライフサイクルはわずか18カ月と短い。

ジャン・ラヘイン氏 グローバル規模でのコラボレーションと成長を図るためのPLMソフトウェアを必要としていた、リトルヒューズのCIOジャン・ラヘイン氏

 ラヘイン氏は「わたしたちは常に新製品を開発していかなければならないの。そのためには、優れたPLMソフトウェアが不可欠」と語る。

 最近では製品設計もグローバル化し、広範な専門分野にまたがるようになった。「以前は、データはすべて書類としてファイルに収められた。そのファイルは、エンジニアリング部門で比較的簡単に管理できた。ところが、いまやわたしたちの顧客はアジアにも広がり、そうした顧客がドイツなどの他国で設計された製品を要望することも少なくない。従業員全員がすべての製品のコンセプトや図面を確認し、理解できるようにする必要があるわ」と、ラヘイン氏。

 リトルヒューズは2004年にPLMシステムの導入を決定したが、UGSが提供する「TeamCenter」の試験運用にこぎつけたのは、2006年になってからだった。この製品は、ロッキード・マーティン・エアロノーティクスのような大企業向けのエンタープライズレベルのシステムである。

 「わたしたちが導入に足踏みしたのは、進むべき方向性を見出せなかったから。エンジニアリング部門は、主にCAD図面や仕様書を体系化する手段として考えていた。言ってみれば、電子的なファイリング・キャビネットのようなものだった」と、ラヘイン氏は振り返る。

 このような近視眼的な見方は、エンジニア部門のリーダー、ジェイ・ハリス氏(現グローバル製品管理ディレクター)がマーケティングや品質管理、販売機会などの点でメリットを強調し、会社にPLMを売り込むことで大きく変わった。経営陣に総額35万ドルのプロジェクトを承認させるために、ラヘイン氏とハリス氏はタッグを組んだのである。

 「最初に頭に浮かんだ具体的なメリットは、接続性だった」とハリス氏は語る。「リトルヒューズの業績拡大は、買収戦略と強く結び付いていた。企業を買収するたびに、新しいデータ管理システムが増えたからである」

 「一例を挙げれば、買収した企業はどこも異なるCADシステムを使っていた。トレーサビリティの維持やデータ管理はどうするのか? TeamCenterはプラットフォームにとらわれないため、データがどこから来ても関係ない。従って今後、会社がグローバルに成長を続けても、あらゆるデータに対応することが可能になる」と、ハリス氏は言う。

 複数のエンジニアリングシステムから、このデータにアクセスできることもまた、蓄積された知的財産を新製品の開発に活用する道を開いた。「誰かが『ここはパラジウムではなくニッケルを使えるんじゃないか』と言った時、過去にテストした発熱やトルクのデータをすべて洗い出すことができる。それによって膨大な時間とコストが節約できるはず」と、ラヘイン氏。

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