インターネットで加速するコンテンツ経済(前編)新世紀情報社会の春秋(2/2 ページ)

» 2007年12月03日 12時10分 公開
[成川泰教(NEC総研),ITmedia]
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コンテンツ業界の変化が遅れた最大の理由とは?

 映像や音楽などある意味で「狭義の」コンテンツ業界も、こうした変化の例外ではない。そもそもコンテンツはソフトウェアであり、いまやその多くがデジタル化されているから、本来はこうした流れが最も早く起こる領域の1つと考えられる。しかしながら、それ以前に確立した強固なビジネスモデルとそれを根底から支えるパッケージ流通と著作権(およびそれに関連する諸権利)の存在が、この業界をそうした変化から遠ざける要因として作用してきたのは言うまでもない。

 好調なiPodの売れ行きとともに進化するアップルのiTunes Storeに対抗して、米国アマゾン社も映像配信と音楽配信のサービスを相次いでスタートさせた。現時点では日本でこのサービスを受けることはできないものの、何がいくらで売られているのかについては、自由に閲覧することができる。音楽好きの筆者も少しサービスをのぞいてみたのだが、品揃えや価格は非常に魅力的と言わざるを得ない。

 インターネットの普及と発展で、利用者にダイレクトにつながるコンテンツの流通経路が整備され、さらにデジタル技術の進化は、ネットワークで流通する実用性―転送速度やファイルサイズと、画質や音質などの再生品質―に一定の妥協点を見出した。そして、そこにこれまで述べてきた広告をベースとしたビジネスモデルの進化が加わり、コンテンツ業界のモデルは大きく変わりつつあるように思う。続きは次回

プロフィール

なりかわ・やすのり

1964年和歌山県生まれ。88年NEC入社。経営企画部門を中心にさまざまな業務に従事し、2004年より現職。デバイスからソフトウェア、サービスに至る幅広いIT市場動向の分析を手掛けている。趣味は音楽、インターネット、散歩。


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