ユーザーへのメリットは増えた仕事の3倍以上に特選事例:建設会社の経営情報活用(1/2 ページ)

利益確保には全社で業績管理をしていく必要がある。正確な数字を出すには現場のユーザーの協力は欠かせない。過去の実績など、検索システムの改善によってユーザーへのメリットを高めるのも一手だ。

» 2007年12月19日 09時00分 公開
[ITmedia]

 1873年創業の老舗建設会社である安藤建設は、民間建築に強みを持つ建築主力の総合建設会社。クリーンルーム、住宅、プレキャストコンクリートといった分野を得意とし、130有余年の歴史の中で培ってきたノウハウと豊富な実績により、「VALUE 創造専門家集団としてANDOブランドを高め続ける企業」を目指している。

 公共事業投資減少の余波により、民間建築事業での受注競争が熾烈なものとなっており、経営環境は年々厳しさを増している。景気判断にもここに来て不安材料が目立っている。このような背景から、同社は2000年5月に「業務革新プロジェクト」をスタート。その一環として、2006年5月に情報系システムを再構築し、情報活用を進めている。

情報系システムの概要

会社の上流から下流まで連携した一貫システムを構築

 「業務革新プロジェクト」では、全社の機能を洗い出して、新しい業務プロセスをデザインした。検討の結果、基幹システムをホストコンピュータから、オープンシステムへ移行させることを決定。第1弾として2000年10月から「@ANDOプロジェクト」として、工事システムの開発に取り掛かった。さらに投資効果を検証したうえで、04年10月から「AAAプロジェクト」として、会計システムなどの開発に着手した。

 それらと並行して進められたのが、経営管理のための情報系システムの再構築だ。同社では、原価、受注、人事、会計などの情報を集計・分析して、経営管理資料を作成している。これらの情報は工事や営業などの現場で入力するが、従来は現場で紙に記入したものを管理系の部署に送り、そこで工事、営業、人事、会計の各システムに入力していた。それを、経営企画部がホストコンピュータの検索ツールで情報を集計・分析し、経営層に報告するという流れになっていた。

 しかし、現場で紙に起票して管理系の部署が入力するのは二度手間で時間がかかり、経営管理情報の迅速な収集の妨げとなる。

 また、情報を取り出す側でも課題が発生していた。ホストコンピュータに組み込まれた検索ツールは操作性やレスポンスに問題があり、使い勝手が悪かったのだ。社長室情報企画部長の森田雅支氏はこう語る。

 「検索に数分〜数十分かかるうえに、検索条件にも制限があって、欲しい情報がすぐに手に入るという環境ではありませんでした。また操作に習熟が必要なため、営業や工事の現場の社員にはほとんど利用されず、必要な情報は、各自がExcelで管理したり、管理系の部署に依頼して情報を取り出したりしていました」

社長室情報企画部長、森田雅支氏

 新情報系システムの構築にあたり、これらの課題を解決する情報活用ツールとして選ばれたのがウイングアーク テクノロジーズの「Dr.Sum EA」だった。選定の理由を、社長室情報企画部副部長の庄司雅彦氏は次のように明かす。

 「Webアプリケーションで現場の一般ユーザーも使いやすく、同時にExcelアドインで、パワーユーザーである経営企画部の要求を満たせることが大きいですね。また、運用側としては、ユーザーの要求に対して自分たちでデータマートを構築できることも魅力でした」

 情報系システムは、新しい基幹システムが本格稼働する06年4月に向けて、1月から開発を開始、5月に稼働した。

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