連載
» 2008年01月18日 09時09分 UPDATE

間違いだらけのIT経営:片思いからの卒業――CIOの本来の姿とは (1/2)

輸入語であるCIOはなかなか日本企業に根付いていない。CIO任命の要諦とは。

[増岡直二郎,ITmedia]

事務効率化ツールのお守役?

 CIOは、日本ではまだまだ根付いていない。言いようによっては、軽んじられている。

 無理もない。CIOは、80年代後半に米国で提唱され、日本に輸入されたのはそれから10年後、90年代後半である。それ以来約10年経過するが、しょせんは外来種である。日本にはなかなか定着しにくい。定着しないだけでなく、残念ながら軽んじられているのが実態だ。

 なぜ、CIOは軽んじられるのか。ITそのものがいまだに事務効率化の一手段としてしかみなされていないことが主な原因だろうが、CIOの質の低さにも原因がある。ITやCIOの重要性がそこかしこで説かれていても、多くの経営者は潜在的にITを事務効率化の道具としてしか捉えていないし、IT関係者をコンピュータやシステムのお守りをしていればいいのだとしか思っていない。ITやCIOの重要性を認識しているのは、当事者だけなのか。

 そのことは、調査にも裏付けられている。古くて、しかもアメリカの調査だが、米ガートナーが2004年行ったCEO、CIOの意識調査によれば、CIOの80%が「自分はCEOから信頼されている。ビジネスを変革するリーダー的役割を果たしている」と答えたのに対し、それに同意したCEOはわずか40%弱だった。CIOの片思いである。

 その調査では、「CIOは事務的な役割」と認識するCEOも少なくなかったが、最近の日本でも同じことが言える。CIOが経営課題として認識が一番高いのは「コスト削減」で、2位の「財務体質改善」の4倍近くにもなったという(「2007年国内CIO調査」IDC)。CIOは、戦略的テーマに関心が薄いのか。それでは、自らの地位を下げていることになる。

 調査結果ばかりではない。周囲に、それを裏付ける実態が余りにも多い。

 中堅企業A社の取締役経理部長を兼務するCIOのBは、C社長と考えを異にした。C社長が常にA社の将来を視野に入れたBの考えを求めたのに対し、Bは人材不足やトラブル対応でそこまで考えが及ばないという思いが潜在的にあったため、両者は噛み合わなかった。遂にCはBを相手にせず、Bを飛び越えてDシステム部門長に直接接触した。いつもDは、その結果を申し訳なさそうにBに報告した。一方で、情報投資や効果のチェックなどシステムに関する公式の話になると、C社長はCIOであるBの責任を問うた。BとCの間は悪化するばかりだった。この場合、C社長はBを外して、他の役員か自分自身がCIOを務めるべきである。

 大企業E社のCIOであるF取締役情報管理部長は、システム部門の経験もあり、ITに造詣が深かった。Fはトップに忠実で、常にトップの顔色をうかがい、その姿勢に周囲から批判を買うほどだった。Fは若い頃から今のトップの世話になり、役員に引き上げられたため、恩義を感じていたのだろう。しかし、彼らがシステムについて話をしている所を見た者はいなかった。トップはITに無関心であった上に、Fの存在を重要視していなかったようだ。

 大企業G社のH事業所は年商1千億円にもなるので、事業所の組織は一企業並であった。J経理部長はシステム部門を管轄していたので、実質的CIOだった。JはITについて全く知識も経験もなかったが、頻繁にシステム部門の部屋に出入りをしていたし、システム部門とライン部門との人事交流にも心がけていた。何よりもトップである事業所長の信頼が厚く、情報投資やシステム部門の人事考課については有利だったことは否めない。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

「ITmedia エグゼクティブ」新規入会キャンペーン実施中!!  旅行券(5万円)をプレゼント!

「ITmedia エグゼクティブ」は上場企業および上場相当企業の課長職以上の方が約5500人参加している無料の会員制サービスです。
 会員の皆さまにご参加いただけるセミナーや勉強会などを通じた会員間の交流から「企業のあるべき姿」「企業の変革をつかさどるリーダーとしての役割」などを多角的に探っていきます。
 新規でご入会いただいた方の中から抽選でお1人さまに、JTB旅行券(5万円)をプレゼントします。初秋の旅で、日頃の疲れをいやしていただければと選びました。どうぞご応募ください。

ピックアップコンテンツ

- PR -
世界基準と日本品質を極める Clients First with Innovation & Japan Quality

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆