日本にも訪れた業務プロセス改革の動きトレンドフォーカス(2/2 ページ)

» 2008年01月24日 09時10分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]
前のページへ 1|2       

 「SOA導入は21世紀企業の成功の鍵」と考えるSOAコンソーシアムは、SOAの潜在的利益を現実化するには企業のトップがSOAをITの統合と生産性の問題ではなく、ビジネスのアジリティ(機敏性)を実現する手段として認識すべきとの考えを前提としている。OMG会長でSOAコンソーシアム事務局長のリチャード・マーク・ソーリー氏は、07年3月のSOAエグゼクティブ・サミットでも「SOAとBPMを人為的に分離することはできない」と繰り返し強調している。

 一方、日本BPM協会では、2007年12月に「SOA普及推進研究部会」を立ち上げ、日本のコンソーシアムとしてのイニシアティブ活動を開始する。この部会では、UML教育研究所(UTI)の代表取締役社長である碇利之氏が代表を務め、日本におけるSOA普及活動を通じて、業務とITの両方で統合的にBPMを推進していくという。また、OMGのSOAコンソーシアムとの連携や情報交換を深めていく計画だ。

BPM促進に不可欠なBPMNの重要な役割とは?

 SOA普及によるBPM促進に不可欠となるのが、双方に共通した表記ルールとなるBPMN(注2)やアクセス仕様のSDO(注3)、BPEL4WS(注4)である。

 中でも、業務プロセスのステップを可視化するために開発されたBPMN最大の目的は、ビジネスユーザーからプロセスを実装するIT技術者までが、標準的なコミュニケーションを行いながらモデル駆動型開発を実現することにある。

 「BPMNはビジネスマンが使うための記法」と表現されるように、ビジネスユーザーはBPMNのビジネスプロセス図を容易に理解でき、実装技術者はコンピュータシステムに実装できるように、ビジネスプロセス図を詳細化することができる。

 2005年6月に、OMGはBPMNを開発した米国非営利団体のBPMI(注5)を統合し、BPM標準化活動を総合的に推進するとともに、BPMNの改良と普及に取り組むことが宣言された。

 日本能率協会コンサルティングのチーフコンサルタントで、日本BPM協会の事務局長を兼務する横川省三氏は「日本BPM協会としてもBPMNの普及を促進していく。国内のITベンダーにBPMNの有用性を十分に理解してもらうことで、ベンダー各社のSOAビジネス推進にも生かしてもらいたい」と話す。

 BPMNが標準的に使われることで、BPMがSOAにとってのマーケットとなり、それがBPMへの取り組み価値を高めることになる。そして、日本にもようやくBPMとSOAの相乗効果による業務プロセスの改革が促進するベースが整うことになる。

注2:(Business Process Modeling Notation):ビジネスプロセスモデリング表記法

注3:(Service Data Objects):OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards;XML関連の標準化団体)が検討しているSOAアプリケーション向けの共通データアクセス仕様

注4:(Business Process Execution Language For Web Services):オーケストレーション(定義されたプロセスに従って制御する技術)を記述するためのXMLベースの実行言語

注5:(Business Process Management Initiative)

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆