暗いニュースに沈む消費者心理――明るいのは子年のジンクスだけ?景気探検(2/2 ページ)

» 2008年01月29日 09時00分 公開
[景気探検家・宅森昭吉,ITmedia]
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子年のジンクスに好材料

 08年は子年だ。1951年以降の日経平均株価・前年末比を調べてみると十二支の中では平均上昇率が一番高いのは子年の40.3%であり、昨年までの57年間の平均12.4%を大きく上回る。

 子年の日経平均株価・前年末比はバブル崩壊後の、96年こそマイナス2.6%と若干の低下だが、この96年はこのあたり年の中での極大値である2万2666円の高値を記録している。

 1960年は55.1%、72年は91.9%、84年は16.7%の上昇だ。子年のジンクスからは08年の株価はしっかりした動きが期待される。

 また円ドルレートは変動相場制に移行した73年以降、平均毎年約2%の円高・ドル安傾向だが、子年の84年・96年はともに円安・ドル高になっている。子年は十二支の中では平均して1割強の円安・ドル高と一番円安・ドル高気味になる十二支だ。

 また米大統領選の前年は円高・ドル安傾向だが、米大統領選挙の年にはその傾向はなくなる。08年は子年のジンクスなどからは大幅な円高になる可能性は小さそうで、急激な円高により輸出企業の収益悪化を心配する見通しは杞憂に終わる可能性があろう。

 こうした子年のジンクスは子年が米国大統領選挙の年、夏季オリンピック開催年と重なることで生じる面もあろう。

 ニクソン以降、共和党の大統領の下では大統領選挙の年には経済成長率は上向いてきた。夏季オリンピックの年には、OECD諸国全体の実質GDP成長率は前年に比べて高くなる傾向がある。2番目に株価の上昇率が高い年と、2番目に円安・ドル高気味になる十二支が子年から4年後の辰年であることは偶然ではないと思われる。

 サッカー・Jリーグで一時J2落ちしたことがある浦和レッズは07年に初めてアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を制覇した。バブル崩壊で一時苦しんだ日本経済が息の長い景気拡張を続け、ついにいざなぎ景気を超えたことと重なる面もあろう。足元、日本経済がもたついているように浦和レッズも07年のシーズン終了間近はもたついた。

 しかし、クラブワールドカップでは日本勢として歴史的初勝利を挙げ準決勝に進出、ヨーロッパチャンピオンのACミランと戦った。惜敗したものの3位決定戦で勝利し世界に向けて、日本のクラブの強さをアピールした。08年もこうした日本経済を元気づける明るい話題が多く出てくれることが期待される。

たくもり・あきよし

「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。


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