グーグルとの提携で判明した「ドコモ2.0」の正体新世紀情報社会の春秋(2/2 ページ)

» 2008年03月06日 09時00分 公開
[成川泰教(NEC総研),ITmedia]
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モバイル分野に進出することで莫大な広告収入が可能に

 果たしてグーグルのサービスが、ドコモにどの程度の加入者を呼び込むことになるかは、慎重な見方が必要だ。発表されているサービスのほとんどは、先行しているGoogle Map同様、アプリ形式で提供されるものと思われるが、動画共有のYouTubeや写真共有のPicasaなどは、利用者が通信トラフィックの点からネットワークに大きな負担をかけることが想定される。記者会見でドコモの夏野剛氏がフルブラウザでの対応という主旨の発言をしており、データ定額という料金システムの下で、そうしたサービスを快適に楽しめる回線容量が十分に確保できるのかなども注目だ。

 今回の提携では、ユーザーが利用する様々なサービスの動向に目が奪われがちだが、最も重要なポイントとして、ドコモが手にすることになる広告収入の存在がある。発表では公式メニューサイト内で、グーグルの検索連動型広告サービスAdwordsを表示するとある。ご存知の通りAdwordsは、ウェブサイトのコンテンツに関連する広告を表示し、そのクリックによって発生する広告収入をグーグルとサイト運営者でシェアする仕組みだ。この場合表示されるのはドコモの公式サイトなので、サイト運営者はドコモということになる。

 ここからドコモがどの程度の収入を受け取ることになるのかは分からないが、6000万人近い規模のiモード会員を考えれば、月額300円の利用料に準ずる新たな収益源を手にする魅力は想像に難くない。

プロフィール

なりかわ・やすのり

1964年和歌山県生まれ。88年NEC入社。経営企画部門を中心にさまざまな業務に従事し、2004年より現職。デバイスからソフトウェア、サービスに至る幅広いIT市場動向の分析を手掛けている。趣味は音楽、インターネット、散歩。


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