期待されるパブリックサポートサービス市場――4年後、5兆円規模にトレンドフォーカス(2/2 ページ)

» 2008年08月29日 17時28分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]
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類似業務の包括化から複数自治体の包括化へ

 とはいえ、日本では指定管理者制度後も株式会社や有限会社が受託した割合は11%程度に過ぎず、いまだ外郭団体や公共的団体が主な受け皿となっている。

 野村総研が民間企業へ行ったアンケートでは、66%は自治体アウトソーシング市場に関心が高く、実際に参入したいという回答も32%あった。しかし、1件あたりの規模が小さく採算が合わないといった意見や、インセンティブが少なくメリットが見出せない、創意工夫の自由度が少ない、リスク分担の契約が明確でないといった不満がある。一方、地方自治体にとっても、誰に委託していいのかが分からない、契約の進め方やモニタリング方法に不安があるといった問題抱えている。

 しかし石井氏は、官から民へのアウトソーシングはさらに推進すると見ている。今後、地方自治体財政健全化法が2008年度の決算から適用されることで、アウトソーシング先としてきた財団法人等にも抜本的に見直しがなされ、団塊の世代の大量退職や市町村合併などで、10年後の地方自治体職員数は現状の78%の234万人に減少すると予測されるからだ。

 「行政サービスの健全なアウトソーシング市場形成のためには、段階的な包括化を進めていくことが重要」と断言する石井氏は、従来小分けに行っていた業務委託を、同一業務、施設での包括的アウトソーシングで実施し、類似業務についての包括化、さらに複数の自治体での包括化へと展開していくことで、ITの利活用が進み、高品質なサービスの実現につながっていくとの見方を示す。

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