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» 2008年09月02日 08時15分 UPDATE

事例から学ぶ:ディザスタリカバリ対策──6つのステップ【前編】 (1/3)

ある推計によると、米国企業の約半数はお粗末なディザスタリカバリ対策しか実施していないという。予期せぬ災害や事態にどう対応するのか……。いま必要とされている対策の中身と構築の手順とは?

[Michael Ybarra,ITmedia]

マザーボードが焼失し、サーバ障害がいっせいに…

 数年前の大みそか、米国オハイオ州ブレックスビルに本拠を置くビール卸売会社、ザ・ハウス・オブ・ラローズでは、新年前のお祝いムードが吹き飛んでしまった。同族経営の中堅企業である同社は、3000万ドルを投じて建設した約2万8000平方メートルの新施設に移転したばかりだった。新施設では最新鋭の倉庫管理システムがOracleのOracle 10gデータベース上で稼働し、州全体にわたって1日数万ケース、年間で1200万ケースのビールをトラックで配送する同社のビジネスを支えていた。

 だがその日、NovellのNetWareが稼働するシステムのマザーボードが焼けてしまい、それをきっかけにサーバ障害が続発、業務がストップしてしまった。ラローズは米国の飲料卸売業界で屈指の高度なIT環境を運用していたが、ディザスタリカバリ(DR:災害・障害復旧)対策もビジネスコンティニュイティ(BC:業務継続)プランも実施していなかった。

 IT管理者のダン・ブラインガー氏はNovellに電話をかけたが、新しいマザーボードを確保するには3日かかると言われた。そこで同氏はオハイオ州内のあちこちに電話し、どうにかマザーボードを借りることに成功。そのおかげでラローズのシステムは数時間で復旧した。「この一件で目を覚まされた」とブラインガー氏。「ERPシステムがダウンすると、会社全体がマヒしてしまう」

 ディザスタリカバリは、以前は大企業の関心事だったが、ビジネスの24時間365日化が進む中、ますます多くの中堅企業が、業務の継続を確保しなければやっていけないと考えるようになっている。また、高可用性への要求も高まる一方だ。Forester Researchは、過去5年の間に、企業で使われるミッションクリティカルなデータベース・アプリケーションの数が倍増したと推計している。にもかかわらず、多くの企業では、不測の事態への備えが貧弱なままだ。ガートナーの調査によると、中堅企業と大企業の半数近くが、不十分なディザスタリカバリ対策しか講じていない。

 「業務の質はデータの完全性に依存する」と、テルコ・ソリューションズでディザスタリカバリを担当するビジネス部門マネジャー、リッキー・バハジ氏は語る。同社はテネシー州フランクリンに本拠を置く中堅エレクトロニクスメーカーだ。同社は最近、BC/DR戦略を見直し、それらの対策をアウトソーシングすることを決めた。これは中堅企業で広く採用されているやり方だ。

対策の不備により制裁金が科されるケースも

 BC/DRに取り組むことは、ますます多くの企業にとって必須の課題となっている。

 上場企業はSOX(サーベンスオクスリー)法の下でデータ管理義務を課されており、ワイン醸造や金融などさまざまな業種の非上場企業も、記録保持やサービス継続に関する政府規制を守らなければならない。

 「法令でBC/DR対策が明示的に義務付けられていないとしても、規制当局は企業に対し、必ず当局の監査に適合し、情報請求に対応することを要求する」と、Forester Researchのアナリスト、ルディガー・クロジニュースキー氏とビル・ナーゲル氏は、最近のリポート「Planning Your Next Disaster」(次のディザスタに備える)で述べた。「災害やシステム障害などによるビジネスの混乱のせいでこの要求に応えられなかったら、弁解の余地はない。規制当局は傷口に塩を塗るように、ディザスタリカバリ対策の不備に起因する規制違反で制裁金を科す可能性が十分にある」

 DR対策は、リソースが不足しがちな中堅企業にとっての方が、大企業にとってよりもかなり困難かもしれない。

 だが、迅速なリカバリと最大限のコンティニュイティを実現するための基本的な方法がある。

 以下では、DR/BC対策の進め方をご案内しよう。

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