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» 2008年10月03日 07時45分 UPDATE

新世紀情報社会の春秋:情報爆発の時代にどう生きていくか (1/2)

ますます肥大化する情報社会の影響は、人々の行動や考え方にも変化を与えている。わわわれはこの時代をどう生きていくべきだろうか。

[成川泰教(NEC総研),ITmedia]

スピードの時代と刹那主義

 前回に引き続き、内閣府による「国民生活に関する世論調査」による生活者意識のトレンドから、情報社会の今後を考える上で、興味深いと感じる2つの視点を取り上げる。

 現代人のものの考え方や行動様式の特徴に、「刹那(せつな)主義」あるいは「短期志向」という側面がある。「何をのんびりやっているんだ、今はもうそんな時代じゃないぞ」と上司から怒られたり、逆に部下にハッパを掛けたりした人も多いだろう。仕事の世界に限らず世の中はスピードの時代である。

 こうしたトレンドに関わっているのが、テクノロジーの進化であることは間違いない。中でもITの果たす役割は大きく、単にユーザーが必要な情報を入手する速さだけについてみても、この10年間で驚くべき進化を遂げている。

 そうした影響はサービスやコンテンツの世界においてもみられる。お笑いの主流は漫才やコントからより短いギャグに移行し、小説でも手軽な携帯小説が人気だ。おかげで本を読む際にも「速読術」なるものがもてはやされているらしい。

 ICT(情報通信技術)におけるスピードを象徴する「ムーアの法則」は当面は健在だといわれるが、一方で、ICTの世界におけるスピード化への要求は少しずつペースダウンしているように感じる。パソコンの処理速度然り、インターネットの回線速度然りである。以前取り上げた携帯電話の市場動向についても、そうした問題が少しは影響しているはずだ。

情報爆発が将来を左右する

 内閣府の調査では、今後の生活について、「毎日の生活を充実させて楽しむことに力を入れたいと思うか」、あるいは「貯蓄や投資など将来に備えることに力を入れたいと思うか」という質問がある。バブル経済といわれた1980年代後半あたりまでは均衡していた2つの考え方は、それ以降急激に差を広げていった。増加したのは「毎日の生活を楽しむ」である。これをスピード化との関係が深いと考える。

 情報化の進展やサービスの高度化により、望めばすぐにでも楽しさを享受できる時代になっている。どこにどのような娯楽があり、何が食べられ、何が買えるのかといった情報が至るところで手に入る。

 ところが、インターネットとモバイルによる新しい情報社会が定着し始めると変化が出てくる。「毎日を楽しむ」というトレンドは継続する一方で、「将来に備える」ことが増加し始める。この変化は何を意味するのだろうか。

 実際の質問票を見ると、将来に備えることについては「貯蓄や投資など」と経済的な側面を明確にしているので、年金問題や低金利、株安といった時代背景が影響するのが分かる。一方で、爆発的に増大する情報によって過去と現在が明確になるほど、人々は不明確な将来に関心を向けるのではないだろうか。

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