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» 2009年01月08日 08時00分 UPDATE

「2009 逆風に立ち向かう企業」ミサワホーム:建築のプロが考えるシステム構築の未来形

住宅大手のミサワホームで情報システム担当部長を務める北上義一氏は、情報システムと建築が似ていると指摘する。SaaSの利用、BIや仮想化などを取り入れる同社のシステムには建築から見た情報システムの未来が見えてくる。

[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 「2009年はシステムの構造が問われる」

 こう話すのは、住宅大手のミサワホームで情報システム担当部長を務める北上義一氏だ。いわゆる「姉歯事件」と呼ばれる2005年の構造計算書偽造問題以降、建築における構造に世間が注目するようになったが、構造の重要性は情報システムでも同じだと北上氏は指摘する。適材適所を考えたアウトソーシング、仮想化によるサーバ統合、BI(ビジネスインテリジェンス)、SOA(サービス指向アーキテクチャ)など、不断の情報収集を基に効率の高い情報システムをつくり上げる北上氏に、2008年を振り返り、2009年を展望してもらった。

misawa1.jpg 経営企画本部 経営企画部 情報システム担当部長 北上義一氏

ITmedia 2008年はどんな年でしたか?

北上 あまり例のない方法でアウトソースを実施した年でした。開発や運用を担当する情報システム部門の社員三十数人を、NECに転籍させるという新たな取り組みでした。ミサワホーム側には、主に企画や業務推進の担当者を残しました。結果として、ほとんど同じメンバーでシステムを開発、運用していますが、実態は完全にNECにアウトソースしているという形になりました。将来のSaaSやPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)の利用を見越した決断でした。NEC側にも利点があります。転籍者に一級建築士が3人いました。例えば、こうした人は、建築とシステムの両方に精通しているわけです。NECが建築業界向けにソフトウェアを開発するような場合、建築の業務知識を存分に生かせるでしょう。

 この取り組みを成功させるためのカギは、NECに転籍する人のやる気や処遇、福利厚生を含めた満足度だと考えています。後の調査で、転籍した人の66%は満足だと答えましたが、残念ながら34%は何らかの不満を抱えていました。発注側から受注側になることの難しさ、キャリアパス、企業文化などが原因だったようです。

 アウトソーシングは、委託する側はコストを下げたい、受託する側は儲けたいわけで、矛盾があります。この矛盾を打破するためには、相互の信頼関係の構築と正しい方法論の確立しかありません。

ITmedia 情報システムが構築からSaaSなどによる利用の時代に移ることへの布石ということですね。具体的に、情報システムの現状と今後をどのように考えていますか。

北上 住宅設計のCADや営業担当者のプレゼンテーション、教育など「道具性」の高いものは、無理にSaaSを通じて利用しようとは考えていません。人事システムなど本業以外の部分をサービス化する考えです。

 ハードウェア環境では、2001年に既にメインフレームを廃止しました。現在は250台のサーバを運用しており、これを仮想化技術を使って統合していく予定です。アプリケーションでは、2009年はBIに力を入れる予定です。全国の販売状況などをリアルタイムに分析し、どんな年齢のどんな人が住宅を購入しているのかといった情報を得ます。ただし、住宅の場合、顧客に家を購入していただいてから二十数年の付き合いが始まるというビジネスであるため、食品などの一般消費財を扱う企業とはBIの使い方も違っています。実装方法としては、オラクルなどが提供するデータウェアハウスのアプライアンスに注目しています。

 SOAにも注目していますが、実際には難しいと感じています。というのも、SOAでは業務の細かい単位をサービス化するため、ITと業務を本当の意味で連携させなくてはいけません。業務改革が目的なのにITが主導しなくてはならないのです。また、グローバル企業などで、海外にある本社が勝手に新しいアプリケーションを構築し、日本法人に使わせようとしたら、その瞬間すべてが終わる可能性があります。そのアプリケーションと連携できないからです。そうした細かい事情を考えると、やはり従来どおりのERPなどを利用する企業が多くなるのも無理はないと考えています。

 2008年はオープンソースの導入も進めました。RedHatのOSやJbossといったミドルウェアを利用しています。よくメンテナンスを考えるとオープンソースは高くつくなどといわれますが、そんなことはありません。ただし、情報システム部門が強くない企業にとってはハードルが高いと思います。

ITmedia 未曾有といわれる金融危機について、どう感じていますか。

北上 個人的には、金融危機の兆候は2年くらい前から察知していました。もともとマクロ経済に興味があるので、金融系の新聞などを読んでいつも情報収集をしています。そこで、詐欺紛いの行為が金融の現場で行われているという記事が多く掲載されていましたので、サブプライムローンの危険性などは認識していました。

ITmedia 2009年に個人的にやってみたいことはありますか。

misawa3.jpg

若い時からやりたいことがたくさんあります。絵を描いたり、俳句を読んだりなどです。自宅近くに井の頭公園があるので、風景をスケッチしたいです。井の頭公園を歩くと、カブト虫に出会うこともあります。植物や蝉の種類にも詳しくなります。普段も、公園を歩くとリラックスできるので、心理学者のフロイトや物理学者のシュレディンガーの思想について考えることがあります。

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