ギャップだらけの組織を救う「ストーリーテラー」であれタスクチームのススメ(4)(2/4 ページ)

» 2009年04月25日 08時30分 公開
[永井孝尚ITmedia]

4-2 原因を分析する論理的思考

 問題の分析には「なぜ」を5回繰り返せ――などと言われることが多い。だが単純に「なぜ」を繰り返しても、原因は究明できない。正しい分析をするには、「論理的に考えること」が必須になる。

 ここで注意すべき点は、「問題分析は犯人捜しではない」ということだ。問題分析は特定の個人や部門の責任追及ではなく、よりよい成果を生むための事実の究明だ。ロジック(論理)やデータを活用せずに、感情論で原因を探り出そうとする行為は論外といえる。

 論理的思考は、簡単なパターンを応用することで誰にでも身につけられるスキルだ。ここではパターンの基本となる3つの考え方を紹介する。

4-2-1 論理的思考に必要な「主張」「データ」「ロジック」

 「ある問題の原因はAだ」と主張する場合、それを裏付けるデータ、そしてデータと主張を結び付けるロジックが必要だ。データ、ロジックのいずれか一つだけでは不十分であり、両方がそろって初めて主張が成立する。

 例えば、以下の主張はどうだろうか。

「商品が売れないのは、営業が顧客のビジネスを理解できず、ビジネスにおける個別の課題に応えていないからだ」


 一見すると本質を突いている意見のように見える。主要のタスクメンバーがこうした主張をしてしまうと、チームの雰囲気がこの主張に支配されることが多い。

 しかし、実際にはこの主張にはデータもロジックも入っていないので論理的ではない。もしかすると、顧客は営業が自社のビジネス課題を理解することではなく、製品やサービスの使いやすさや買いやすさを重視しているかもしれない

 では、この主張に論理的な整合性があることを裏付けるためには、データとロジックを活用してどう補完すればいいか。

 例えば「データ」として、第三者の市場調査結果、対象市場の顧客アンケート、あるいは顧客満足度調査等の客観的なデータを使用する。

 「購入時に重視する項目」の上位に「個別のビジネス課題に応えること」が、そして「営業への不満」の上位に「ビジネス課題に応えていない」というデータがあればそれらを活用し、主張を裏付けるロジックを作る。以下は論理的に成立している主張の例だ。

顧客が商品購入の際に重視するのは、顧客を理解し、個別のビジネス課題に応えることだ。だが顧客は、当社の営業はビジネスの課題に応えていないという不満を持っている。つまり、顧客が購入時に重視する要望を、当社が満たしていないために、商品が売れない。


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