【第8話】課題を洗い出す内山悟志の「IT人材育成物語」(1/2 ページ)

いよいよ検討テーマに対する課題の洗い出しが始まる。カードBS法と呼ばれる手法を活用し「なぜ、ITが十分に事業に貢献できていないのか」の原因を導き出す。

» 2009年08月11日 08時15分 公開
[内山悟志(ITR),ITmedia]

内山悟志の「IT人材育成物語」 前回までのあらすじ



「前置きはこれくらいにして、早速始めよう。前回検討テーマは決めたが、今日はこれについて問題の洗い出しをやってもらおうと思う。問題を洗い出すにあたり、検討テーマを『なぜ、○○ができていないのか』という形式に置き換えて考えることになる。われわれのテーマは『事業に貢献するIT活用のあり方とは」だったが、これをどう表現すればいいと思う?」

 川口の問い掛けに、奥山が「なぜ、ITが十分に事業に貢献できていないのか」と即座に反応した。「いいね。コツがつかめてきたようだね」川口の褒め言葉に奥山が得意げな表情を浮かべた。

カードを使ったブレインストーミング

「今日は、カードBS法という発散技法を使って問題を洗い出すことにする。カードBS法は、名前の通りカードを使ったブレインストーミングだ。メンバーがそれぞれカードにアイデアを書き出すことで、全員の発想の取り込みを可能にし、後工程の収束の際に整理しやすいように工夫したのがカードBS法だ。ブレインストーミングの場合は、発言の多い人や役職の高い人などの意見が強く反映されがちとなるが、カードBS法では少なくともアイデアを書き出し、発表するということに関しては全員が平等という点がメリットとなる。

 では、進め方を説明しよう。全員が5分間でカードにアイデアをいくつか書き出し、その後書いた内容を順番に発表する。基本的にはカードに書き出す個人発想タイムと1人ずつ順番にカードを読み上げる発表タイムの繰り返しとなる。発表の順番が回ってきたときに、手持ちのカードがなくなったらパスする。発表が数周してパスする人が2人以上になった段階で再び個人発想タイムに戻り制限時間まで繰り返す。通常、適切なのは4〜6人だが、今日は僕も入って3人でやることにしよう(図1)

 川口もアイデア出しに入るという言葉に2人は心強い思いがした。


<strong>図1</strong> カードBS法 図1 カードBS法

 川口は説明を続けた。「カードBS法を行う際には、『担当者への教育を強化し、人事評価制度を整備して、成果報酬を導入する』のように、複数の事柄を書かずに1枚に1つずつ書くこと。また、『業務知識』のようにキーワードを体言止めで書かないことに注意して欲しい。のちに収束技法でまとめる時に、カードを分割したり、言葉を補足したりしなければならないからね」

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆