大相撲名古屋場所の懸賞が増加、企業プロモーション費に改善の兆し?景気探検(2/2 ページ)

» 2009年08月21日 08時15分 公開
[景気探検家・宅森昭吉,ITmedia]
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企業の広告費に明るい兆し?

 そうした懸念材料もあるが、身近なデータは明るい話題が増えてきた。皇太子ご夫妻、愛子さまが7月12日に神宮球場で行われたヤクルト対横浜を観戦された。平成初の台覧試合だ。3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)がきっかけで、愛子さまは野球ファンになったようだ。

 同様の人はかなり多そうである。プロ野球開幕から7月19日までのセ・リーグ観客動員数は1試合平均前年比6.8%増。今年は巨人が好調である。オールスター前の前半戦終了時点で2位の中日に2.5ゲーム差をつけてセ・リーグ首位に立った。前半戦終了時の巨人の勝率は6割4分1厘と、1989年(6割8分8厘)以来の高水準。巨人の前半戦セ・リーグ首位は2002年以来7年ぶり29度目だ。過去28回のうち24回優勝している。人気チームの巨人の優勝は景気にプラスに働きやすい。

 ただし、前半戦終了時に中日が2位の場合、3ゲーム差以内だった1954年、1982年、1988年の3回はすべて中日に逆転された。今年は2.5ゲーム差で微妙である。後半戦は巨人対中日の3連戦で始まったが、最初の2試合はクリーンナップのホームラン合戦で1勝1敗、3戦目は中日勝利。クライマックスシリーズに向けて盛り上がりが期待される。なお、中日がセ・リーグ優勝するとその年ないし翌年に政変が起こるというジンクスがある。1954年の優勝時には吉田内閣が退陣し鳩山内閣が成立した。今年は政局面からも注目だ。

 企業の広告費の代理変数と言える大相撲の懸賞が名古屋場所では1033本と、昨年の949本を上回った。昨年秋場所以降、前年比2ケタのマイナスだったが、1年ぶりにプラスに転じた。終盤にかけて優勝争いが盛り上がったことで、千秋楽近くに懸賞本数が増えたようだ。これは、企業は景気悪化の中、コスト削減のため広告費を6月分まで減少させてきたが、7月になると人々の注目を集めるような場合には積極的に広告費を使おうという行動に変化し始めた可能性を示唆するもので、明るい材料と言えよう。


著者プロフィール

宅森昭吉(たくもり あきよし)

「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。



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