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» 2009年10月28日 13時25分 UPDATE

藤田正美の「まるごとオブザーバー」:鳩山政権の大きなリスク (1/2)

驚いた人も多かっただろう。日本郵政の社長人事をめぐり憶測は絶えない。果たして郵政改革はどこに向かうのか。

[藤田正美(フリージャーナリスト),ITmedia]

 鳩山政権が誕生して1カ月が過ぎた。無難なスタートを切って、支持率も60%台を確保していたが、ここに来て急に雲行きが怪しくなっている。言うまでもなく、亀井静香金融・郵政改革担当大臣のことである。いわゆる「モラトリアム法案」はまあ何とか大事にいたらずに着地したかに見えたが、今度は日本郵政の西川善文社長を辞任に追い込み、斎藤次郎元大蔵相事務次官を後任に据えるのだという。

つじつまの合わない議論

 役人だからいけないというのは、かつて日銀総裁の人事で民主党がさんざん振り回した議論だった。その意見には必ずしもくみしないが、斎藤氏の場合は15年もたっているからいいというのも国民にとっては分かりにくい論理である。いい人はいいが、悪い人は悪いというのなら、天下りについてもそういう判断をしなければなるまい。しかし民主党はそれを一律禁止にしようとしている。これはどう考えてもつじつまの合わない議論である。

 それに日本郵政は株式会社で委員会設置会社。本来、西川社長の後任経営者を探してくるのは委員会の役割であって、担当大臣の役割ではない。いったいこの会社のガバナンスはどうなっているのだろうか。政権が交代するたびに、日本郵政が民営化と国営化のはざまで揺れ、経営陣が入れ替わるなどということになったら、ガバナンスも何もあったものではない。政治家の玩具になってしまう。それに振り回される従業員はたまったものではあるまい。かつてイギリスやフランスでも1960年代には国有化と民営化で何度も揺れた大企業が何社もあるが、21世紀になって日本がその愚を犯すのだろうか。

 本来、郵政民営化の一番の眼目は、郵貯と簡保のカネをどうするのかというところにあった。ピーク時には両方合わせて300兆円を超えていた(今では少しずつ減っている)。その資金は大蔵省に預託されてそれが特殊法人やら何やらに回されていた。そこで焦げ付いたりした場合は、税金から補填されて預金者や保険者に支払われるという構造である。それが21世紀に入って大蔵省への預託義務がなくなったが、結局は資産の8割がたは国債の購入に充てられている。早い話が大きな国の財布になっているわけだ。

 ここに大蔵省元事務次官を据えれば、結果は火を見るより明らかである。郵便、郵貯、簡保の一体運営という名の下に、国民から小口の資金を集めて国債の受け皿という性格をより強めることになるだろう。少なくとも当面は政府が100%保有する国営会社になるのだから、それに文句をつけられることもない。

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