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» 2009年11月05日 08時15分 UPDATE

潮目を読む:グローバル人材育成の現場より――求められる新たなカリスマ人材 (1/3)

現在のフラット化する世界において求められる人材像とは何か。国際競争力に勝つために企業はいかなる社員を育てていけば良いのだろうか。

[椎木茂(IBCS),ITmedia]

 日本経済が低迷している間に、世界の仕組みは大きく変わりました。インターネットや通信テクノロジーの進展は地球上のあらゆる場所にいる人々とのコラボレーションを可能にし、インドや中国へのアウトソーシングが始まりました。これらの進展が何を意味するのか、「フラット化する世界」(トーマス・フリードマン著、日本経済新聞社)では、「世界の仕組みが変わった。地球はフラットだ」という明快かつ衝撃的な言葉とともに、経済と社会の壮大な変化が解き明かされました。

 前回は、サービスプロバイダーの営業人材としてT型もしくはπ型の人材が必要であることを言及しました。今回はさらに広い視野で、世界のフラット化という大きな潮流の中で価値を発揮できるグローバル人材について述べていきます。

世界を1つととらえてビジネスをデザインする

 一口に「国際企業」と言っても、その意味するところは時代を追って変わってきています。国ごとの壁がまだ高かったときに目指された国際化(International)とは、「国外で売る・作る」ことを意味しており、本国にある本社にすべての機能が集約され、国外子会社は製造・販売など事業の一部機能を担当していました。その後、国際化が進んでくると、いわゆる多国籍(Multinational)モデル、つまり、現地に権限委譲を進めマーケットカバレッジを狙う自立した子会社の集合体となりました。

 多くの日本企業も海外に進出したり(International)、営業や生産拠点を海外に設立して多国籍(Multinational)にビジネスを展開していますが、大抵は現地固有の情報を各国で集約し、さらにアジアや欧州といった地域レベルで集約し、本社に報告するという仕組みをとっているため、このやり方ではデータの鮮度が薄れ、変化のスピードが加速するなかで経営の舵取りをすることは難しくなってきました。

 では、どうすべきか考えてみましょう。例えば、世界を1つのものとしてとらえて、統合されたサプライチェーンの仕組みを定義し、One System、One Instance、One Centerというコンセプトで機能を設計し、世界中の拠点があたかも1つであるようなバーチャルなOne Company化というのが1つの解になるでしょう。

 つまり、世界中で一番ふさわしい場所にそれぞれの機能を分散させ、「適切な場所で、適切な時期に、適切なコストで」経営資源を最適化する企業へとビジネスモデルの変革が求められているといえます。IBMではこの経営モデルを「Globally Integrated Enterprise:GIE」と定義し、自らもGIEとして変革を続け進化しています。まさに世界を1つのビジネスフィールドととらえてビジネスモデルを描き、実現することが企業の競争力確保、ひいては生存に不可欠になってきたということです。

 問題はこの仮説が正しいとするならば、多くの企業にはこのようないまだかつて誰も経験したことのないビジネスモデルを設計できる人材や能力が必ずしもそろっていないということでしょう。つまり、誰も経験していないことを実現できるような人材をどのように育成するかが企業の競争力の源泉になるというわけです。

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