連載
» 2009年11月06日 07時45分 UPDATE

21世紀市場を勝ち抜くIT経営:【最終回】IT経営で成功する経営者の資質 (1/2)

不況の中でも成功する企業の共通項として、美意識を持った経営というものが挙げられる。21世紀経営の潮流は、サイエンスからアートへ、さらに哲学へとシフトしていくことを予感させるものだ。

[上村孝樹(ジャーナリスト),ITmedia]

 連載最終回の今回は、「成功企業は何が違うのか」について経営トップの資質という観点から、IT経営百選選考活動で2004年〜2007年3月にわたり270社を認定した経験から明らかにしていきたい。

 昨年のリーマンショック以降、景気が急激に悪化して非常に厳しい状況が続いている。谷底はまだこれからだ、という中小企業の経営者の声も聞かれる。そうした中で21世紀の非成長市場に対して的確に対応出来た企業は元気に経営を続けている。

 成功企業の特徴として、(1)売上高増大よりは一定の利益率達成を重視する、(2)内製化を徹底し可能な限り製造から販売まで自社で手掛ける、(3)IT投資については「選択と集中」で効果を上げる、(4)経営のガラス張りなどオープン経営を貫いている、(5)従業員満足度(ES)を最優先に掲げES達成によって顧客満足(CS)、ビジネスパートナー満足(PS)、社会的存在としての満足(SS)向上を図る、などが挙げられる。

 これらの企業の経営者の特徴として、第一に挙げられるのが、経営を良いものにしていくことに対しての「美意識」を強く持っていることである。一種の哲学としてとらえている、との感じすらある。アーティストのように理想的な経営を目指して追求し続ける、という習性を持っているのである。21世紀経営の潮流は、サイエンスからアートへ、さらに哲学へとシフトしていくことを予感させるものだ。

美しい経営の真髄を知る

 美しい経営とはどのような状況が達成されることなのか、どのような組織や活動形態がよいか。こうしたことについてはっきりとしたイメージを持っているのが成功企業だ。例えば、昨年末にロッテに買収されたが、仮説検証型IT経営でES向上を追及してきたメリーチョコレートカムパニー(東京都大田区)の創業一族、原邦生元社長は、「家族的経営で魅力ある企業を創る」「ムダ、ムラ、ムリのダ・ラ・リを排除するシンプル経営」という言葉で理想を表現している。

 業務用電動送風機のトップメーカーで、徹底した全業務のデジタル化によって高い経常利益率を出し続けている昭和電機(大阪府大東市)の柏木武久社長は「経営は人が6割、ITは4割。高度な状況判断は人が実施、仕組み作りは枝葉を落として隙間を作る」との信念で経営を束ねてきている。

 建設プロジェクトマネジメントで高付加価値ビジネスを確立した明豊ファシリティワークス(東京都千代田区)の坂田明社長兼会長は「フェアネスと経営の透明性を徹底し、自分たちが先頭を切って旧態依然とした世の中の仕組みを変える」ことを追求している。

 高級米菓の製造販売に成功した三州製菓(埼玉県春日部市)の斉野平伸一社長は「従業員一人一人が発案する経営で個性豊かな企業を創る」「職場環境を徹底して整備することが従業員満足度を向上させる」とのモットーで企業文化形成にチャレンジし続けている。

 中国地区で販売数量トップに輝くメガネ小売チェーンのトゥーワン(広島県広島市)は、創業メンバーである平本清氏が考え出した「社長を含めた全社員の給与明細など経営情報をすべて徹底的に公開すれば組織効率が最大化し、社員のやる気も高まる」として創業して20年を経過した今も、日本に類のない「超ガラス張り経営」を追求し続けている。

 1000社に及ぶLPガス販売業者がひしめく厳しい神奈川県内で勝ち続けるカナジュウ・コーポレーション(神奈川県横浜市)の牧野修三社長は「ガスにまったく関係のない事柄でも、顧客の困っていること、相談事はすべてお答えする」「究極のペーパーレスを目指せば業務のムダがすべて排除される」という超の付く顧客密着サービスと業務のペーパーレス化にまい進している。

 体に優しい、環境に優しい化粧品を開発し高収益を獲得しているネイチャー生活倶楽部(熊本県菊池市)の垂見和子社長は「消費者と一体になって商品を開発・改良し続け、通信販売で提供する。皆が完全に満足するまで市場に出さない」ことを徹底して開発に膨大な時間とコストを掛け続けている。

 IT経営百選で2回連続、最優秀賞を獲得した印刷業のタカヨシ(新潟県新潟市)の高橋春義社長は、現役社長では受賞企業中の最高齢で80歳を超える。だが、青年のように元気ハツラツな人だ。高橋社長は、業界が急速にデジタル化している中で勝ち抜いていくには、「心・技・体を一体化させた経営を創る必要がある」として、「社員満足なくして顧客満足なし」の理念の下、例えば新入社員は入社後10年間にわたって教育し、心と技術のバランスが取れた「人財」に育てることに全力を注いでいる。

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