松井秀の活躍が日米の景気に貢献景気探検(1/2 ページ)

ワールドシリーズで大活躍し、日本人で初のシリーズMVPを獲得した松井秀喜選手。彼の活躍は、日米の景気を大いに刺激してくれたのだ。

» 2010年01月06日 07時45分 公開
[景気探検家・宅森昭吉,ITmedia]

 10月分景気動向指数・速報値では、一致CIは前月と比較して1.1ポイントの上昇幅で7カ月連続の上昇になった。内閣府の一致CIを使った景気の基調判断は、先月の「景気動向指数(CI一致指数)は、上方への局面変化を示している」から「景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している」に上方修正なった。一致CIの3カ月後方移動平均の前月差はプラス1.43と6カ月連続1標準偏差分を上回る大幅上昇で、「3カ月後方移動平均の前月差が3カ月連続で上昇」という、基調判断表の「改善」の基準を十分満たしたからだ。

 参考系列の10月分のDIでは、先行DI・一致DI・遅行DIと3つのDIがそろって100.0になった。これは1980年以降のデータがある現行統計史上で初めてのことである。すべての系列が3カ月前に比べ改善していることを意味する。景気回復が幅広い分野に広がっていることを裏付ける数字と言える。

足元では暗雲

 水準は低いものの2009年3月ごろを谷として景気は回復してきているが、足元では暗雲が漂い出している。「景気ウォッチャー調査」の現状判断DI(方向性)の前月差は10月分マイナス2.2ポイント、11月分マイナス7.0ポイントと2カ月連続低下した。速報性・先行性がある統計だけに先行きの景気に対する懸念が高まった。鳩山政権の経済政策が公共事業の削減などにより短期的には景気にマイナスに作用しそうなことなどが根底にあろう。

 2009年10月の「ESPフォーキャスト調査」で「政権交代のマクロ経済への影響」に関しての特別調査が実施されたが、最も回答割合が多かったものを挙げると一年以内の短期では、成長率は「下がる」、物価は「下がる」、為替は「円高」、株価は「下がる」だったが、その後、予測どおりの動きになった。

 また、足元の景況感のもたつきは、エルニーニョ現象の発生による暖冬でその分個人消費にとってマイナスに働きそうなことが影響していよう。11月の月例経済報告での政府のデフレ宣言や、11月下旬の急激な円高による悪影響や、需給要因により日本の株価が他国と比べ弱含んでいることなども響いていよう。

 ただし、秋になると景況感や株価が下ぶれしやすくなるという要因もある。季節的な要因で悪化している面も大きいと考えられ、過度に景気の先行きを悲観的に見る必要もないのではないかと思う。

 日銀は12月1日、臨時の金融政策決定会合を開き、追加の金融緩和策を決めた。新型オペは年0.1%の固定金利で10兆円規模の資金を金融市場に供給する。金利を低めに抑えられれば円高抑制につながろう。また企業が資金を借りて設備投資など前向きな活動を始めれば大幅に拡大しているGDPギャップの縮小につながりデフレ圧力が緩和されよう。2009年度第二次補正予算による下支えや、民主党大統領だと中間選挙の年が好況であるという米国経済の傾向などは心強い。

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