協働――日本企業が復活させるべき競争力の源世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(2/2 ページ)

» 2010年02月01日 08時00分 公開
[中島洋,ITmedia]
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 日本企業の底流に流れる精神を掘り起こし、「助け合う」という行動まで結び付ける。日本企業の競争力は、この見える化の仕組みをクラウドコンピューティング環境の中でグローバルに実現することで、回復できる。日本企業の次のグローバル化は、国境を越えてネットワークでつながった多くのメンバーが共同作業をする――という業務形態を構築することで実現されるだろう。

 クラウドコンピューティングを基に、今後さまざまな共同作業のシステムが登場してくる。低廉化する高機能サーバと高速ネットワークによって、事業所群は仮想的に一体化される。事業所は各地に分散し、ある業務を遂行するチームの構成員は、あちらこちらに分散して共同作業を進めていく。このチームの構成員はあたかも同一の場所で作業をしているかのように共同作業を進めていく。

 テレビ会議システムで仲間の顔や作業を眺めながら、同じ現場にいるかのように互いに状況を共有する。特色は、構成員たちが助け合いの精神を価値として共有する点だ。どこかでトラブルが生じるとゆとりのある構成員が問い掛け、問題点を解決する情報を提供する。助けに入る仲間は、自分の個人的経験だけでなく、これまでのトラブルと解決策を蓄積した知識ベースから類似のケースを引き出して、助言の際の参考にする。

 日本の現場力の基本は、助け合いの精神である。クラウドコンピューティングは 日本企業の得意技だった現場力を、グローバルな舞台へと広げてくれる。もう一度、日本企業は強い現場を取り戻すべきである。

著者プロフィール 中島洋(なかじま ひろし)

中島洋

日本の経済ジャーナリスト。MM総研 代表取締役所長。全国ソフトウェア協同組合連合会 会長、首都圏ソフトウェア協同組合 代表理事も務める。IT業界に関連した講演・執筆活動を展開。著書は『クラウドコンピューティングバイブル』ほか多数。




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