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» 2010年02月19日 08時00分 UPDATE

ヒトの働き方を変える新・クラウド戦略:【第2回】P&Gの事例にみるクラウド時代のワークスタイル (1/2)

世界最大の家庭用消費財メーカーであるP&Gは、かつて経営の行き詰まりを感じていたが、研究開発体制を抜本的に改革し、見事な立ち直りを見せた。その背景には2つの「クラウド」の実現が大きく寄与しているという。

[吉田健一(リアルコム),ITmedia]

2つのクラウド

 「クラウドソーシング」という言葉をご存じだろうか。「クラウドコンピューティングを使ったシステム調達のこと?」などとお思いの方もいるかもしれない。この言葉は「実は意味を知らなかったビジネス用語ランキング」(2007年 gooランキング)で1位に選ばれたビジネス用語であり、多くの日本人が誤解している言葉の1つだ。

 クラウドソーシングでのクラウドは「Crowd=群衆」を意味する。Wikipediaのように世界中の群衆の知恵を結集して素晴らしい価値を作りあげることを集合知と呼ぶが、この集合知は英語で「Wisdom of Crowd=群衆の知恵」という。この集合知のクラウドとアウトソーシングのソーシングを組み合わせたものがクラウドソーシングであり、企業がインターネットなどを通じて社内の業務を「群衆」にアウトソーシングすることを指す。米国ではデータ入力といった単純作業から、デザインやR&D(研究開発)などの高度な専門性を必要とする領域まで、さまざまな領域にわたるクラウドソーシングサービスが立ち上がりつつある。

 一方、IT業界で日々目にする用語である「クラウドコンピューティング」のクラウドは「Cloud=雲」であり、クラウドソーシングのクラウドとは意味が異なる。ただし、社内のIT基盤がクラウド(雲)化して社外へ向かうと、業務もクラウド(群衆)化する可能性が出てくるという意味で方向性は同じといえよう。

 ITのクラウド(雲)化だけでなく業務のクラウド(群衆)化をして初めて、クラウド化によるワークスタイルの変革を実現できるのだ。本稿ではプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の事例を通じて考えてみたい。

研究開発のあり方を抜本的に改革

 米P&Gは世界最大の家庭用消費財メーカーである。同社の高い技術力と先進的な研究開発体制が成長のエンジンであったが、1990年代後半、世界中に分散した縦割りの研究開発体制が非効率をもたらし、研究開発投資が増加する一方で利益目標を達成しない新製品の数が増えるようになった。

 このような状況を打開するため、2000年にCEOに就任したアラン・ラフリーは、「Connect&Develop」という戦略を打ち出し、経営の抜本改革に着手した。Connect&Develop戦略とは、社内外に存在するまったく異なる領域の研究者同士や技術同士を結び付けることで斬新なアイデアの獲得や問題の早期解決を目指すという取り組みだ。

 このConnect&Develop戦略に基づき、社内の群衆の力を活用する取り組みに着手し、世界中に分散した数万人の研究員の知識を結び付ける「コミュニティー・オブ・プラクティス」を構築した。コミュニティー・オブ・プラクティスとは、会社の組織とは別に特定のテーマに関心を持つメンバーが集まり、情報やナレッジの共有、問題解決、人的ネットワークの構築を行う仕組みである。

 現在P&Gでは、世界共通のR&Dポータル「Innovation Net」の上に化学、パッケージ、生命科学といった100以上のテーマのコミュニティー・オブ・プラクティスを構築している。これらのコミュニティーの中では、新製品のアイデアを募集したり、技術的に困難な問題の解決を世界中の研究員に求めたりしている。そして、異なる領域の専門家を結び付けてアイデアを創発し、問題解決のスピードを向上させたわけだ。

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