成功のポイントの3つ目は「全社一丸となった交渉」だ。
相手を知り己を知ったら、次は交渉フェーズに入る。サプライヤーとの交渉において成果をあげるには、相手を本気にさせ、自社のバーゲニングパワーを最大限発揮する必要があるが、その際に重要なのが「全社一丸となった交渉」である。これには大きく2つの側面がある。
まずは、全社一丸となった「攻め」だ。サプライヤーを本気にさせるには相見積もりが有効だが、単なる相見積もりでは十分でない。例えば、相見積もりをとってもなかなか成果が出ず、よくよく調べたらサプライヤー側の意思決定者にきちんと情報が伝わっていなかった、などというケースは少なくない。こうしたケースに際しては、自社の役職者が交渉の席についていると示すことで、相手の意思決定者を交渉に巻き込める。
一方で、全社一丸となった「守り」も重要だ。ありがちな構図は、価格交渉を迫られたサプライヤーが、営業取引を武器に営業部門経由で価格交渉への圧力をかけてきたり、経営トップとの関係がある場合には、その関係を活かして経営トップに泣きついてきたりするケースだ。この際、経営トップから営業、そして現場の最前線の購買担当者までの意識や言動を一枚岩にまとめておかないと、交渉は中途半端に終わってしまう。
このように、実際の交渉の場面においては、攻めと守りの両面において全社一丸となった交渉を徹底できるかが、削減の成否を左右することを忘れてはならない。
(詳細は、書籍「最強のコスト削減」(東洋経済新報社)にて確認いただきたい)
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慶應義塾大学経済学部卒、みずほフィナンシャルグループを経て、A.T. カーニー入社。同社ストラテジック・オペレーション・プラクティスのコアメンバー。小売・サービス業界を中心に「実行につながる戦略の構築」や「戦略と直結したオペレーションの設計・実行」を支援している。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授