ビジネスによってITガバナンスはどう変化するか(2)Gartner Column(4/4 ページ)

» 2010年06月15日 08時00分 公開
[小西一有,ITmedia]
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自立性を高める行動に積極的に注力する

 自立性志向の企業では、参照程度に全般的な手引きを提供しますが、手引きより各事業部の判断による競争力の向上を重視しています。このため、何らかの共通機能を提供するには、ボトムアップの取り組みに時間を割いて、共通アプローチが実際に事業部にベネフィットをもたらすというコンセンサスを形成することが必要となります。人事・財務などの機能と同様、IT機能についても全社的な導入は最もコスト効率の高い方法です。

 ITインフラなどの領域においては、CIOの仕事は1対1の営業活動を行うことになります。多くの場合、ITマネジメント上の利害がさまざまなコミュニティーとの交流を促進することに取り組んでいます。複数の事業部が存在する企業では、その多様性に対処すべく、IT組織は社内のサービスプロバイダーとしての役割を果たし、通常のプロバイダーが保有するようなITガバナンスメカニズムを確立する傾向があります。

  • 事業部とIT組織の共同による意思決定に関して主要なビジネスステークホルダーと1対1で交渉するに当たっては細心の注意を払う
  • ITグループは顧客サービスに関する高い倫理観を維持する
  • コスト振り替えのためのメカニズムを導入して、費用を割り当て、望ましい行動を促進し、即応性を確保する
  • サービスレベル合意書を導入し、期待事項を設定する
  • ベンチマークテストを活用し、その結果を伝達する

 図5は、自立性志向の企業での実際のITガバナンスマトリックスです。

図5

著者プロフィール:小西一有 ガートナー エグゼクティブ プログラム (EXP)エグゼクティブ パートナー

小西一有

2006年にガートナー ジャパン入社。それ以前は企業のシステム企画部門で情報システム戦略の企画立案、予算策定、プロジェクト・マネジメントを担当。大規模なシステム投資に端を発する業務改革プロジェクトにマネジメントの一員として参画した。ガートナーでは、CIO向けのメンバーシップ事業「エグゼクティブ・プログラム(EXP)」の日本の責任者を務める。


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