「ITによってビジネス価値を高めたい」――日本たばこ産業・引地氏エグゼクティブ会員の横顔(2/2 ページ)

» 2010年07月16日 08時30分 公開
[聞き手:松岡功,ITmedia]
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自分を磨くために会社を利用すべし

――新しい刺激が欲しくなるとのお話ですが、引地さんにとって何が仕事上の転機になったのでしょうか。

引地 これまでのビジネス人生からすると、転職や合併に伴うIT統合作業など、幾度も大きな出来事がありましたが、自分として本当に転機になったと思うのは、そろそろ新しいことにチャレンジしたいと自分の触手が活発に動き出したときに、これ、ぜひやってみたいと強く感じる仕事のお話をいただけたことですね。

 そうしたお話は、転職やスカウトを専門とするエージェントからいただきます。特に外資系企業に勤めている方々は、そのようなエージェントとつき合っておられるケースが多いと思いますが、わたしも信頼できるエージェントとは常日ごろ、密接に連絡をとってきました。

 外資系企業の場合、それぞれの職務のプロとして採用されますので、モチベーションも高くキャリアパスにもなるのですが、方針が変わって突然その職務や職位が不要となり、居場所がなくなるケースも少なくありません。そうしたときにエージェントのお世話になるわけです。これも自分自身の危機管理の1つだと思います。

 わたしの場合は、CompaqおよびJTに移るときにエージェントのお世話になりました。

――部下とのコミュニケーションで気をつけていることはありますか。

引地 最も気をつけているのは、すべての面で働きやすい環境をつくることです。まずは仕事そのものの前に、スタッフが心身共に気分良く働けるようなオフィス空間をつくることが、非常に重要だと思っています。

 特にこだわっているのは、打ち合わせスペースです。ちょっとした打ち合わせでもすぐに行えるようなスペースを、所々に設けています。これによってわたしを含めスタッフ同士がいつでも気軽にコミュニケーションをとることができるようにしています。

 IT部門というのは仕事上、スタッフ個々が自分の殻に閉じこもりがちになります。ですから、ちょっとしたコミュニケーションが、実はとても大事なのです。

 さらにわたしはスタッフに対し、週に一度は自分の聞きたいセミナーに出かけるなど、外出するように促しています。外へ出れば、いろんな刺激を受けることができますから。そうしたことも含めてわたしはいつも部下に、会社を利用しなさい、と言っています。この言葉には前提があります。それは、自分自身を磨くために、です。会社を利用して自分を磨き、より成長した自分の力を仕事に生かしてほしい、というのが真意です。

 こうした思いを伝えることも、わたしなりの部下とのコミュニケーションの取り方です。

最近読んだお薦めの本:

吉田興司著「オーバーアチーブ」

鈴木孝夫著「日本人はなぜ日本を愛せないのか」

北川達夫著「フィンランドメソッド入門」


ストレス解消法:

神楽坂あたりの「止まり木」のある小さなバーにひとりでふらっと立ち寄り、グラスを1、2杯傾けながら、マスターと一言二言話して帰ります。無口なマスターに「お疲れさん」と言われて、ホッとする瞬間が良いですね。

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