ネットならではの顧客感情マーケティングビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2010年07月22日 12時06分 公開
[原田翔太,ITmedia]
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「ネット検索」から感情をつかむ

 Webサイトを検索してくるお客は、必ずなにがしかの問題を抱えている。その問題を解決したいから検索するのである。例えば腰が痛い人は「腰が痛い、なんとかならないものだろうか」と思いながらカタカタと「腰痛改善」と入力する。もしくは受験勉強に疲れた学生だったら、「絶対に受かりたい、でも今のままじゃダメだぁ。モチベーションが上がらないから、なんとかしたいなぁ」そう思って「モチベーションアップ」などと入力する。

 賢いあなたならもうお分かりだと思うが、この「検索」という行為には明らかに検索者の「感情」が介在している。この場合で言えば、「腰をなおしたい」「モチベーションを上げたい」という感情だ。この感情は、すなわち「需要」そのものだ。

 つまり「腰が痛い」というのが腰痛改善サービスの「モチベーションを上げたい」というのがモチベーションアップサービス(コーチングなどでしょうか)といった市場の存在根拠になっている。

 で、あれば、彼らの検索に対するわたしたちサービサーからの供給もその感情に応えるものでなくてはいけない。つまりこの「感情」から発生した検索がなされたときに、同じ「感情」を軸にした結果を返さなくては、等価での響き合いが提供できない。つまりお客が激しい衝動に駆られて、われ先にと申しこむような理想的な状況は決して生まれることはない。

 しかし、現実に多くのウェブサイトは感情ではなく、自分たちのエゴを押しつけているだけのものが実に多い。

 「こんなものありまっせ!」

 「これききまっせ!」

 「絶対安心!」

 「絶対確実!」

 「さあ、今すぐお申し込み!」

 きっとあなたも経験があると思うが、多くのWebサイトがこのような「押し売り状態」になっているのだ。表面だけの「なんちゃって感情マーケティング」の体裁を取ったダイレクトレスポンスマーケティング(もどき)を行っている会社は多いが、悲しいことに、そのほとんどの会社があまり成果に結びついていない。

 では、「感情をつかむ」とはどういうことなのか。これは「共感」にヒントがある。何に対する共感なのかというと、お客が抱えている問題への共感だ。

 ここでのポイントは、お客の問題というのが得てして漠然としたものであることが多く、だからこそあえて明文化することによって、「真の問題」に気づかせることにある。するとお客は、悶々としていた問題の正体に気づき、それを教えてくれたあなたに信頼を寄せるようになる。つまり、「この人の視点や共感力はすごい! きっとわたしの抱えている問題も“この人なら”解決してくれるに違いない!よし、この人に頼もう!」簡単に言うとこういう原理が働くわけだ。

 ここでのポイントは「この人なら」と思わせるような感情を想起させる。これがミソ。「どこでもいいから頼もう」ではなく、「この人にぜひ頼みたい!」そう思って申し込んできてくれるお客がどれだけいるかが、感情をとらえたマーケティングができているかどうかのポイントだ。

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著者プロフィール:原田翔太(はらだ・しょうた)有限会社ユナイテッドリンクスジャパン代表取締役社長

1984年東京都三鷹市生まれ。上智大中退、早大第二文学部卒。19歳で英語翻訳事業で起業。その後ウェブサービス運営を通じ22歳で1億の売り上げを生みだしたことをきっかけに、コンサルティングとしての活動を開始。マーケティング、経営ノウハウの新たな試みは、まず自社を実験場として取り組み、顧客への提案商品へと体系化する。「再現性のないメソッドに価値はない」がモットー。ネット界きってのぶっ飛びヒットメーカーとして、様々な分野で業界史上最年少記録を次々と塗り替えてきた実績から「ありえないマーケター」と称される。社長業のかたわら、外部団体主催・経営者向けセミナー講師、書籍の執筆、ビジネス誌への寄稿、メールマガジンの発行などもおこなう。著書に『ありえないマーケティング』(インデックスコミュニケーションズ)、『モバイルSEO勝者のバイブル』(翔泳社)、『勉強のルール』(アスコム)など多数。


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