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» 2010年09月17日 13時21分 UPDATE

テクノロジーが引き起こす働き方の根本的な変化

従業員の働き方をテクノロジーが根本的に変えようとしている。米国では、月に1度しか出社しないといった例もざらにあるという。この動きをリードするIBMに話を聞いた。

[ITmedia]

 会社に行くのは月に1回、出産を控えた女性社員がしっかりと会議に参加――。

ibmsametime1.jpg Lotusテクノロジー開発の小峯宏秋氏

 一般的な会社にとって難易度が高いが、既にこうしたワークスタイルを社内に組み込んでいる企業がある。世界最大のIT企業であるIBMだ。IBMは現在、社内のコミュニケーションツールとして、インスタント・メッセージングや社内版のTwitterのような仕組みなど、いわゆるソーシャルアプリケーションを積極的に導入している。このツールが、毎日決まった時間に決まった席に必ず座っていなければいけない、という従来型の働き方から社員を解放しているのだ。

 日本アイ・ビー・エムのソフトウェア開発研究所、Lotusテクノロジー開発の小峯宏秋氏と、ソフトウェア事業Lotusテクニカルセールスの松尾邦夫氏に、同社の働き方とテクノロジーについて聞いた。

 「“お客様と会う時間をなるべく長くとること。その目的のために最適な場所で業務を行うこと。何がなんでも会社にくる必要はない”というメッセージ」と話すのは松尾氏だ。日本IBMの本社がある東京・箱崎には、社員全員分の席は用意されていない。特に営業担当者などは、会社にいるよりも顧客先に出向くべきとされている。

ibmsametime2.jpg Lotusテクニカルセールスの松尾邦夫氏

 首都圏の主要駅には「サテライトオフィス」を設置しており、社員は都合の良い場所を自由に使ったり、自宅で作業したりできる。実際に松尾氏も週に2、3回しか出社しない。

 グローバル企業であるIBMには、こうした働き方が広く根付いている。米国には、自宅をオフィスとして働く社員はきわめて一般的で、インターネット越しで仕事を済ませているという社員も数多くいる。

 日本企業の実情と比較するとあまりにもギャップが大きいかもしれないが、少しでも取り入れることで、少子化時代に女性や高齢者といった労働力を上手に活用するための切り札としての施策に育つ可能性がある。進化したワークスタイルを確立するために、参考にすべき事例ともいえる。

 IBMのワークスタイルを実現している基盤は、自ら最大級の導入事例となっている自社製ソフトウェア製品「IBM Lotus Sametime」と「IBM Lotus Connections」である。これらは、インスタント・メッセージング機能を柱に、メール、電話、Twitterのような仕組みなどいくつかのツールと連携している。

 基本となっているのは「在席」を確認するプレゼンスの機能である。在席といっても、オフィスのいすに座っているという物理的なものではなく、オフィス、サテライトオフィス、あるいは自宅、外出先を含めどこにいてもいいので、イントラネットにつながっていることを示す。イントラネットにつながっていれば、インスタントメッセージングに連絡を取ることができて、必要であればWeb会議の仕組みを使ってコミュニケーションができる。

 7月になり、インスタント・メッセージングから直接電話が掛けられる新機能を実装。電話をかけると、設定により、携帯電話にいなければ自宅、自宅にいなければ実家というように、「どこまでも追いかけてくる」ようにセットすることも可能だ。

 こうした仕組みは便利だが、やはり物理的に同じ場所にいないことのデメリットはあるようだ。例えば、出社しないことによる孤独感などメンタル面の問題もその1つ。IBMでは、社内で自由に社員が「つぶやき」のようなものを共有する仕組みも用意している。いわば「社内版Twitter」ともいえるものである。業務上のつぶやきに混じって、「頭が痛いよ」といった気軽な書き込みもあるそうだ。

ibmwai.jpg オフィスで顔を会わせないことで失われる従来の「ワイガヤ職場」のメリットを「社内版Twitter」で補完する

 在宅勤務などにより失われる「ワイガヤ」職場のメリットを、こうしたソーシャルアプリケーションの仕組みで補完しようという狙いもあるようだ。もちろん、この「つぶやき」の仕組みは業務的な効果も大きい。仕事上で分からないことがあった場合、帰り際にその質問を投げておけば、翌日に出社するころには、時差のある世界中のオフィスからアドバイスが届いている。グローバル企業ならではの発想だが、上手に使えば社員にとっては心強いものといえそうだ。

 このように、技術の進化により、物理的なオフィス空間が絶対的なものでなくなってきているのは明らかだ。技術の進展が導くワークスタイルの変化は、想像するだけでも非常におもしろいテーマだと感じる。

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