日本完敗、中国は? 藤田正美の「まるごとオブザーバー」(2/2 ページ)

» 2010年09月27日 19時39分 公開
[藤田正美(フリージャーナリスト),ITmedia]
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 かつてロシアの外交官に聞いたことがある。ロシアがウクライナへの天然ガス供給をストップしたときに、ロシアはなぜ天然ガスを外交的圧力に使うのかと問いただしたのである。そのとき、ロシアの外交官はこう言った。「日本だってODA(政府開発援助)を政治的目的のために使うでしょう。ロシアが天然ガスを政治的目的のために使ってどこが悪いのですか」

 そうした考え方は決定的に誤りである。なぜなら、現実の世界ではエネルギーにせよ、レアアースにせよ、それを取り引きするのは民間企業であり、そうである以上、最も重要なのは「信用」だ。いつ供給をカットされるか分からないような状況では、民間企業は安心して契約を結ぶことができない。ロシアが天然ガスや石油を政治的に利用すればするほど、ヨーロッパなどはエネルギー資源を多様化しようとするだろう。サハリンの資源開発に日本企業を誘致しようとしても、企業は二の足を踏むかもしれない。

 今回の中国の行動は、南シナ海南沙諸島で中国との領有権問題を抱えるベトナム、フィリピン、マレーシアにとって「警戒警報」になったに違いない。日本がもし今回の外交的な「失点」を挽回しようとするなら、こうした国々と経済的・政治的な連携を強めることが何よりも必要だと思う。それは中国を牽制(けんせい)することにつながるからである。それと同様に中国を警戒するロシアとの関係をどう発展させるかが問題である。

 そういった状況を考えても、昨年来の普天間基地移設問題をめぐる民主党のどたばたは、日本の立場をかなりむずかしくした。鳩山前首相を副総理として支えた菅首相は、いったいこれをどう考えているのだろうか。

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著者プロフィール

藤田正美(ふじた まさよし)

『ニューズウィーク日本版』元編集長。1948年東京生まれ。東京大学経済学部卒業後、『週刊東洋経済』の記者・編集者として14年間の経験を積む。85年に「よりグローバルな視点」を求めて『ニューズウィーク日本版』創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年同誌編集長。2001年〜2004年3月同誌編集主幹。インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテータとして出演。2004年4月からはフリーランスとして現在に至る。



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