楽天経済圏とパーソナライズ、クロスユース戦略(1/4 ページ)

ITmediaエクゼクティブ編集部が9月14日に行った第13回ITmediaエクゼクティブフォーラムでは、楽天の景山均氏が特別講演を行った。緻密なデータ分析を基盤とした楽天の取り組みを明らかにした。

» 2010年10月27日 08時30分 公開
[宍戸周夫,ITmedia]

 ITmediaエクゼクティブ編集部が9月14日に行った第13回ITmediaエクゼクティブフォーラムでは、楽天の景山均氏が特別講演を行った。同講演では楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長が提唱する「楽天経済圏」を紹介するとともに、緻密なデータ分析を基盤とした楽天の取り組みを明らかにした。

インターネット社会を予言

 楽天の設立は1997年。その企業が、2009年12月期にはグループ全体で約3000億円を売り上げる企業に成長した。その秘訣(ひけつ)は何か。楽天の開発部グループプラットフォーム開発運用課 課長兼スーパーDBプラットフォーム開発グループマネジャー景山均氏はまず、創業者である三木谷氏が会社設立時に掲げた4つの仮説を紹介した。いずれもインターネット社会を予言した言葉だ。

  • 1.インターネットはもっと簡単に、もっと便利になる
  • 2.インターネットは爆発的に普及する
  • 3.インターネットで日本人はモノを買うようになる
  • 4.インターネットで流通が変わる

 景山氏はさらに「われわれ楽天の社員は、成功の5つのコンセプトとして、1.常に改善、常に前進、2.Professionalismの徹底、3.仮説→実行→検証→仕組化、4.顧客満足の最大化、5.スピード!!スピード!!スピード!!という5つのコンセプトを入社時から徹底的にたたき込まれた。このコンセプトを具現化するために毎日一生懸命仕事をしている」と述べ、創業者である三木谷氏の先見性と思想が今日の楽天躍進の大きな原動力になっていることを指摘した。

楽天の景山氏

 同社は1997年にインターネットショッピングサイトの楽天市場を開設。その後、2000年にはポータルサービスのインフォシークを開始、さらに楽天ブックスや動画配信のショウタイムなど事業を拡大、2003年以降は毎年新しいサービスを追加している。また、2010年からはアメリカ、フランス、中国など海外展開も積極的に進めている。

 それによって、現在ではEC事業からポータル・メディア、証券・銀行、クレジットカード、通信、トラベル、電子マネー、さらにはプロスポーツ事業としての楽天イーグルスまで、多岐にわたる分野でサービスを提供。売上も年々拡大し、会員数も順調に伸び、直近では約7000万人に達している。

 その事業躍進の鍵ともいえるのが、今回の講演のテーマである楽天のデータウェアハウス、いわゆる「楽天スーパーDB」だ。

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