【第6回】スマートなビジネスモデルの実現変革期をリードするIT経営者(2/3 ページ)

» 2010年11月11日 08時30分 公開
[加藤陽一(日本IBM),ITmedia]

 この例は、既存の自動車リースサービスを保険会社、リース会社、自動車整備会社の連携によりスマート化させたものですが、このような業界の枠を超えた連携は、既に電機、通信、自動車、製薬、食品、物流などさまざまな業界が連携した新たなビジネスモデルの事例が次々に登場しています。

 また、民間企業間だけでなく、産官学が連携して成果を上げている事例として、京都大学と日本IBMが共同開発した「交通シミュレータ」があります。これは、数百万台もの車両が複雑に影響しあう大都市圏の広範囲な交通を車両一台一台の動きまでミクロにシミュレートする大規模マルチエージェント交通シミュレーションシステムです。この活用により、さまざまなシナリオを基に首都圏全域など広範囲の交通施策や都市計画を多面的に検証できるようになり、渋滞解消や温暖化ガス排出抑制のための交通施策の実施が期待されています。(出典

 これらの事例から、ビジネスモデルがスマートである要件は次の4点に集約できます。

1.より正確な意思決定と新たな洞察

2.オペレーションの品質向上と効率化

3.変化に対するダイナミックな適応力

4.環境への配慮と資源の保護

 これらの要件は当連載のテーマである、「ビジネスモデルの大変革期」をチャンスととらえ、リードするIT経営者に求められる要件に対応づけることができます。すなわち、より正確な意思決定と新たな洞察を得るために「ビジネスインテリジェンス力」(当連載第5回)を高め、オペレーションの品質向上と効率化のために「クラウドコンピューティング」(第4回)を活用します。

 さらに変化に対するダイナミックな適応力と環境への配慮と資源の保護は「ビジネスイノベーションをリードするCIOの役割」(第3回)そのものです。

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