【第6回】スマートなビジネスモデルの実現変革期をリードするIT経営者(3/3 ページ)

» 2010年11月11日 08時30分 公開
[加藤陽一(日本IBM),ITmedia]
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スマートなビジネスモデルへの進化

 これまで垂直統合型から水平分業型へ移行したビジネスモデルの形態が、今後は個々の企業が差別化要素を持つコア機能に特化し、それ以外の機能は業種を超えた企業間の協業によってビジネスモデルを実現し、共通業務やインフラはクラウドを活用するといったネットワーク型協業の形態をとることで、顧客にとって最も価値の高い商品・サービスを地球への負荷を少なく効率的に提供できるようなる、すなわち、スマートなビジネスモデルへと進化させていくことができるといえるでしょう。

 このようなビジネス形態が主流になってきますと、個々の企業はビジネスモデルの構成要素の一つということになり、競争の土俵が同じ業界の企業間から、業種を超えたビジネスモデルネットワーク同士へと変わります。そのため、企業経営者にはこれまで以上に自社のコア機能の能力を高めることへの注力とともに、新たなビジネスモデルを構想し、実現する力、すなわちビジネスモデル・イノベーションの力が求められます。

 その源泉は第3回でも触れた人材力ということになりますが、その貴重な人材をコア機能強化へ集中させるためにも、ビジネスインテリジェンスとクラウドコンピューティングの活用は重要な成功要因といえるでしょう。

 これまで6回にわたり、ビジネスモデルの変革期をリードするIT経営者に求められる要件と取組テーマについて事例を踏まえながら解説してきました。少しでも読者の皆さまにとって参考にしていただければ幸いです。以上で連載を終了いたします。ご愛読ありがとうございました。

注1:「スマートシティ」:分散型発電システムや電気自動車の充電システム、高効率な空調装置を用いたビル・住宅などの都市システムが結合され、CO2排出量が少なく、環境負荷の低い社会インフラが整備を目指した地球環境配慮型都市。アラブ首長国連邦の「マスダール・シティ」、中国の「天津エコシティ」オランダの「アムステルダム・スマートシティ」が有名。日本でも経済産業省が2010年8月に「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として横浜市、愛知県豊田市、京都府(けいはんな学研都市)、北九州市の4地域を選定し、今後5年間のマスタープランが作成された。

著者プロフィール

加藤陽一(かとう よういち)

日本アイ・ビー・エム(株)グローバルビジネスサービス事業 ビジネスイノベーションサービス パートナー 国際CIO学会常務理事

1984年3月、電気通信大学電気通信学部情報数理工学科卒、同年4月日本IBM入社。金融機関担当営業部門において顧客担当システム・エンジニアとして顧客企業の情報システム企画、構築、運用の技術支援を担当。1995年に日本IBMのコンサルティング サービス部門に異動し、金融機関、製造業、流通業、公益企業の事業戦略、業務改革、IT戦略、IT構造改革のコンサルティング業務に従事。2002年からIBMビジネスコンサルティングサービス 戦略グループ・ITトランスフォーメンションコンサルティングのリーダー。2007年1月、同社戦略グループ IT戦略コンサルティング担当パートナーに就任。現在に至る。



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