絶対なりたくないポジション、それは……ヘッドハンターの視点(2/3 ページ)

» 2010年12月10日 08時36分 公開
[岩本香織(G&Sグローバル・アドバイザーズ),ITmedia]

 製品・ビジネスラインが複数ある場合にはそれぞれの担当者が会議を主催し、そのすべてに社長の出席を要求されることも少なくありません。3つ製品群があれば週3回、朝7時からビデオ会議ということになります。もちろん、これらの会議は「英語」で実施されます。また、以前は家でトーストをほおばりながら電話会議に出席することができましたが、最近多くの企業で大変性能のいいビデオ会議システムを導入したことで、あたかも相手と同じ場所で会議をしているような感覚を得られますが、朝7時の会議に出るために5時半ごろには起きてスーツを着て会社に出社しなければいけないのです。

 もちろん各会議の前日には担当営業部門の達成度合い、見込みなどの数字と状況を把握するためのミーティングも必要となります。期末近くなって日本の数字が悪ければ複数の上司から状況報告が求められます。日本のさまざまな特殊事情等知らない上司にはその説明に多くの時間を費やすことにもなります。

 また会社は生き物なのでさまざまな問題が起こります。誰かが辞める、採用する、病気になった、部署間で問題が起きたなどなど、それらの問題に耳を傾け、時間を使い解決していくことも社長の仕事です。ある社長は「社長の仕事の8割は人事だ」と言っていました。

 そういったことの合間に本来の「仕事」をしなければならないのです。

 その上、社長は孤独です。社長が弱音を吐いたら社員は当然不安になります。社長が眉間にしわを寄せてしかめ面をしていたら社員は社長に話をしなくなり、貴重な情報が入ってこなくなります。社長は辛くても苦しくても、会社では明るく元気に頑張っている姿を部下に見せていなければなりません。本社との話は社員に話せない内容も多く、一人で抱え込むことになります。また、家庭で仕事の愚痴を言える人も少ないでしょう。こうして社長は孤独になっていくのです。

 ここまで読んでいただければわたしが「社長には絶対になりたくない」理由をお分かり頂けると思います。

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