変化に対応できるものだけが残る『坂の上の雲』から学ぶビジネスの要諦(3/3 ページ)

» 2010年12月16日 08時30分 公開
[古川裕倫,ITmedia]
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 新しくできた鉄道の料金は、カゴの料金に合わせて、1等から3等までの3段階に決めたそうだ。いわば、カゴの競合として出現したのであった。

 この続きのような話をある人から聞いたのでご紹介したい。

 ある一組のカゴかきが、「鉄道などたいしたことはない」とは思いながらも、おもしろがって新橋に鉄道を見物に来た。二人は列車を見ても負ける気はしなかったが、念のために併走してみた。ところがまったく歯が立たない。実力の程を知ったカゴかきの一人が運転手になり、もう一人が車掌に転職して楽しい余生を過ごした。ところが、高をくくって見に来なかった大勢のカゴかきは失職してしまったという話である。

 これは、時代の変化、特に技術の変化についていけなかった分かりやすい事例である。技術革新のほかに、流通の発達や趣味趣向の変化があり、成功している業種には競合会社が参入してくるという変化もある。

 話を戻すと、明治という時代の変化をしっかりと踏まえ、手探りながらも、大きな志をもって主人公が前向きに歩んでいく、そういう青春浪漫が『坂の上の雲』なのだ。物語の書き出しを変えると、「まことに若い青年たちが、成長期を迎えようとしている」ということになる。

 われわれもしっかり時代の変化をつかんで、変化をしていかなければならない。その必要性をこの物語が随所で教えてくれている。

著者プロフィール

古川裕倫

1954年生まれ。早稲田大学商学部卒業。1977年三井物産入社、23年間勤務(エネルギー本部、情報産業本部、業務部投資総括室)。内、ロサンゼルス、ニューヨークで10年間勤務。2000年株式会社ホリプロにヘッドハントされる。同社取締役執行役員経営企画室室長兼子会社ホリ・エンタープライズ社長、株式会社リンクステーション代表取締役副社長を経て、現在、株式会社多久案代表、ビジネスアドバイザー。日本駐車場開発株式会社社外取締役を務めるかたわら、「先輩・先人の教えを後世に順送りする」ために講演活動を行う。ビジネスマンの勉強と交流のために「プラチナビジネス塾」(講演会+異業種交流会)を開催している。


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