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» 2011年01月06日 08時30分 UPDATE

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:料理力は仕事力、父親の家庭料理が未来の日本を元気にする

仕事ができる男は料理もうまい。それは料理でも仕事でも必要な心掛けは一緒だからだ。

[滝村雅晴,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


 限られた「リソース」と「期間」の中で、「クライアント」に対して、最適な「ソリューション」を提供し、「顧客満足」を得る。一見、ビジネスの話のようだが、これは料理の話だ。土曜日のブランチ、冷蔵庫にある食材を使い、家族が起きてくるまでに、食べたいごはんを作り、食後に笑顔で「ご馳走様」を聞く。では、言葉を並べてみよう。

  • リソース=冷蔵庫の食材
  • 期間=起きてくるまで/お昼どきまで
  • クライアント=家族
  • ソリューション=食べたいごはん
  • 顧客満足=笑顔
bizuchosha20111.jpg 『ママと子どもに作ってあげたい パパごはん』

 どうだろう。自分のために作って食べる「自炊」ではなく、「誰かのためにつくる料理」には相手がいる。自分の都合で作ってもダメなのだ。「お客様(食べてもらう家族)」をイメージすれば、「料理」と「仕事」の共通点は非常に多い。

 こんなことを言っている僕だが、料理を本格的に始めたのは、長女が生まれた7年前。レシピ通りにだが、自分が作ったにも関わらず、あまりにも美味しくて感動したことが、料理にハマるきかっけだった。それから、僕は「自分が食べたいもの」「作りたいもの」を家族に作り続けた。週末、妻と娘は「プロダクトアウト」された「イタリアン」や「中華」など、肉メインの油たっぷりな料理を食べていた。

 しかし、妻が2人目を妊娠したころから、様子が変わってきた。つわりが激しい妊娠時期に、僕の自慢の料理は受け付けない。あれだけたくさんの料理を作ってきたにも関わらず、妻の記憶に残るのは、食べやすかった、豆腐とゴーヤのチャンプルーだった。ターゲットが明確だったにも関わらず、クライアントのニーズを聞くこともなく、自分のペースで商品を提供していたことにようやく気付いた。料理も「マーケットイン」なのだと。

 次第に僕は、「趣味の料理」から、「日常の家庭料理」へとシフトしていく。自分のお腹が空いたから作っていた料理から、妻や子どもたちのお腹のすき具合を考えながら、家族の健康や体調を考えメニューを考えて作るようになった。

 さらに、作るだけ作って、洗い物や片づけを一切しなかった料理のスタイルも見直すようになった。今まで僕がやっていたのは「料理」ではなく「調理」だったことに気づいたからだ。すると、今まで「点」だったものが「線」として見えるようになった。家庭料理はイベントではなく日常料理。家族が家でごはんを食べる限り永遠に続く。気が向いたときだけ「調理」をしていたのでは、口ばかりでいいことだけ言って、実行やその後の検証はまったくしない外部の営業担当者やコンサルタントと同じ。

 その会社で働く人々にとって、ずっとキッチンで料理をしている妻にとって、「会社」も「料理」もゴーイングコンサーンだ。在庫管理から、買い物、下ごしらえ、テーブルの準備、調理、後片付け、ゴミの分別、ゴミ出し、次の用意まで、全てやって「家庭料理」なのだ。

 こうした、一連の流れを理解しながら料理し、食卓で家族の笑顔を見るようになることは、小さな成功体験の繰り返しになる。それにより、「料理」のスキルは自然に上がってくる。部下や新入社員に、ミニプロジェクトを任せ、成功させることで自信をつけさせるのと同じだ。同時に何品も料理を作るように、幾つものプロジェクトをマルチタスクで回せるぐらい成長するだろう。

 『ママと子どもに作ってあげたい パパごはん』が出版された。おそらく、現役のパパによる、パパのための初めての料理本だと思う。タイトルの通り、「ママと子どもに作ってあげたい」がとても大切で、「自分が食べたい」ではない。

 この中には、僕が何度作ってもおいしい、何度もつくりたいレシピが掲載されている。特別な日だけ食べたい料理ではなく、毎日でも食べたい、毎日でも作ってほしい料理が、「家庭料理」なのだ。

 料理上手になるためには「レシピ通りつくる」ことが大切。「レシピ」は、仕事で使う「マニュアル」や「ガイドライン」と同じ。いきなり自分流の仕事をするのではなく、初めは指示通りにやってから、自分流にカスタマイズしてほしい。レシピ通り作るには、レシピを理解しないと調理できない。そのために、基本的な「切り方」や、計量の仕方を理解する必要があるので詳しく掲載した。

 構成は「LEVEL1」から「LEVEL3」まで料理の難易度に合わせて紹介している。

 「LEVEL1」は、まずは台所に入ろうということで「キッチンパパ」編。食材1品から作る簡単料理。ピアノを習う時、指を1本ずつ増やして上達していくのと同じ方法だ。

 「LEVEL2」は、日常のキッチンに立つようになるので「エプロンパパ」編。定番料理がずらりと並ぶ。基本の料理を学べば、食材を変えるだけで、幾通りもレパートリーが増える。レシピの原理原則も分かるようになっている。

 最後の「LEVEL3」は、家族以外に知人・友人を招いて腕をふるってほしい料理の数々を紹介した「ビストロパパ」編。たくさんの人を笑顔にすることができるだろう。

 趣味から始まった僕の料理は、家族と食事をすることで、いろんなことに気付かせてくれた。そこで自分に足りないものをたくさん学んだ。男の料理に必要なのは、こだわり食材でも、お気に入りの包丁でも、手の込んだ料理でも、プロ顔負けの技術でもない。本当に必要なものは「思いやり」なのだ。相手を常に思いやれる気持ちを、料理でも仕事でも持つことが、今の時代のビジネスマンにこそ必要なのだ。

 自らの手料理で家族や仲間を幸せに出来ることが、真のリーダー、エグゼクティブではないだろうか。

著者プロフィール: 滝村雅晴(たきむらまさはる)

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パパ料理研究家。株式会社ビストロパパ 代表取締役。立命館大学卒業後、PR会社に入社。その後、クリエイター育成の(株)デジタルハリウッドの設立時に入社。広報・宣伝・PR・ブランディング業務を中心に従事。スクール事業部長兼執行役員/広報戦略部長等歴任。同社を09年3月末で退職。同年4月株式会社ビストロパパを設立。代表取締役に就任。日本で唯一の「パパ料理研究家」として、「パパが料理をすることで、家族が幸せになる」世の中づくりのための活動を行う。料理教室やセミナーの開催、NHK「かんたんごはん」、NHK教育「まいにちスクスク」の出演ほか、TV・ラジオ番組出演、各種メディアでの連載、一澤信三郎帆布コラボエプロン・子ども用お手伝いエプロンの企画販売、BistroPapa Online Shop運営など、パパ料理の普及・啓蒙活動を行う。「ビストロパパ〜パパ料理のススメ〜」は、1700日以上毎日更新中(掲載時時点)。NPO法人ファザーリング・ジャパン社員、NPO法人日本食育協会会員、食育指導士、社団法人日本ナチュラル・フード協会 ナチュラル・フード・上級インストラクターでもある。京都府出身、神奈川県在住。妻と2人姉妹のパパ。


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