【第3話】アイデアの競い合わせ内山悟志の「IT人材育成物語」第2幕(1/2 ページ)

川口の主催する「改革塾」のメンバーによるIT戦略委員会の改革案の検討が始まった。メンバーの中で最若手ながらいつも積極的に発言する営業部の石川がファシリテーターとなって、まずは「IT戦略委員会の目的とは何か」をテーマにトーナメント式合意形成が行われた。

» 2011年02月18日 15時30分 公開
[内山悟志(ITR),ITmedia]

 川口は今回の検討にあたって、トーナメント式合意形成を使うことを石川が提案したことに、大きな喜びを感じていた。ブレインストーミングやカードを使ったブレストなど、これまでいくつかのチーム検討手法をメンバーに伝授してきた。その中で最良の検討手法を選択することも課題解決の上で非常に重要であるが、今回のような目標の再設定のようなテーマにはこの手法が打ってつけだからである。

より良い結論を目指して

 石川は、トーナメント式合意形成の実施あたり、ルールと進め方を整理した。IT戦略委員会の目的はおそらく1つではないだろうと考えられるため、川口の助言によりまずはそれぞれのメンバーが単独で3つずつアイデアをカードに書きだすこととした。そして、まずは1対1でそれぞれが3つのアイデアを持ち寄って第1回戦を行い計6つのアイデアを、話し合いにより最善と思われる3つに収束させる。その際、どちらか一方のアイデアをそのまま採用してもいいし、双方の意見を融合した新しいカードを作成してもいい。3つに収束したら、今度は対戦相手だった2人がチームになって、第2回戦に臨む。そこでもそれぞれのチームが持ち寄った計6つずつのアイデアを3つに収束させていく。こうして、対戦したどうしが順次チームとなり、全体で最善と思われるアイデアを収束させていく(図)。最終的な結論に収束させる際には、3つにこだわる必要はなく必要と思われるアイデアを列挙すればよい。

 進め方についてメンバーが理解したところで、石川も1人のメンバーとして加わり、10人でトーナメント式合意形成に取り掛かった。トーナメント式合意形成においては、単に3つずつ出したアイデアから良いと思われるものを単純に選別するだけでなく、合意に過程でより良いアイデアとなるように新たなアイデアが追加されたり、それぞれが出したアイデアの良い点を取り入れてアイデアを補強したりするところに真の醍醐味がある。こうしてアイデアを競い合わせていく度に、1人で考えた時のアイデアよりも良いものができあがっていくのである。

トーナメント式合意形成の進め方
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