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» 2011年02月21日 08時00分 UPDATE

生き残れない経営:「報告の仕方は、企業人の生命をも左右する( 悲しいかな! 老婆と同レベルの管理者の話し方 )」 (1/3)

「報告の仕方」は部下から上司へ適用されるだけのものではない。上司から部下への指示にも、顧客に対する説明にも、幹部・経営者がさらに上に対した時にも、あるいは部下はもちろん、トップ・経営者など企業人が顧客や多数の聴衆を前にした時にも応用される手法である。

[増岡直二郎(nao IT研究所),ITmedia]

 先日、都内のJ大学病院内科待合室での出来事。80歳代半ばほどの老婆が、忙しく立ち回る看護師を待合室でつかまえて、ゆっくりゆっくり訊ね始めた。

 「あのー、この間おじいちゃん方の親戚で不幸があって(この時点で、すでに筆者は老婆の言わんとする内容が推測できた)、新潟まで行ってきたんです。おじいちゃんの姪のほうなんですけど、おじいちゃんは体が動かないので、わたしが義理でどうしても行かなきゃならなかったものですから。お通夜と告別式で2泊したので、結局3日がかりでした。お通夜と葬式に出ているだけなのに、結構疲れるものですね。電車に長い時間乗ってるだけで疲れるし、今年は特に雪は多いし、寒いし、布団が変わっただけで眠れませんからねえ。私も歳ですから、ほんと疲れました。よく風邪を引かないで済んだと思うくらいです。その時予約していた日に来れなくて、今日予約なしで来たんですが、随分待ってるんですが、あとどの位待てばいいでしょうか?」

 明らかにイライラしながら我慢して聞いていた看護師が、それでも笑顔を作って聞き返した。

 「どのくらいお待ちですか?」

 「そうねえ、もう1時間、いや3時間にはなるかしら」

 笑ってはいけない、同じような現象が企業の中でもしばしば見受けられるからだ。某中堅電子部品メーカーの営業担当常務取締役室に、ある時Y東京支店長が入ってきた。

 Y「あのー、今よろしいでしょうか?」

 「昨日S商会を久しぶりに訪ねてS社長と専務に会ってきたんですが、倉庫の片づけが始まっているんです。聞いてみると、大々的に自動コントロール倉庫を導入することにしたそうです。それに合わせて、競合メーカーから営業マンが2、3人倉庫に張り付いて片づけを手伝っています。うちも今日から1名出しました。2、3人は出したいんですが、急には人がやりくりできません。ところで、S商会はついでに取引先との情報交換をすべてオンライン化するそうです。技術情報も見積書も在庫確認も受発注も、何もかもオンラインでやるそうです。うちもオンラインに参加してくれと、S社長から依頼がありました」。

 常務「金はどのくらいかかるのか? 完成予定はいつか?」、Y「今調べてます」、常務「大体分かるだろう?」、Y「今調べていますが……。最近どうもおかしいと思ったら、どうやら競合メーカーにS商会内のシェアを食われてるようです。オンライン投資に応えないと、さらにやられます。逡巡している暇はありません」、常務「そういう緊急事態に、金も時期も把握していないとは随分呑気だな」。

 これでは、Yの話し方はJ大学病院での老婆の話し方と大して変わりはないではないか。要するに自分の頭の中で思考する時と、相手に伝える時の、筋道や表現の仕方が全く同じなのだ。組織の長が、「先日の予約日に来られなくて、今日は予約なしで1時間以上も待っているのですが、あとどの位待ちますか?」と要領よく尋ねられない老婆と同じでは困る。  

 しかし、こういう例を企業の中で見かける機会が少なくないから問題なのだ。

 そういうタイプの企業人は、やがて組織から疎んじられる。

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