成功するための、新しい人脈構築活用術海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(2/3 ページ)

» 2011年04月20日 07時00分 公開
[エグゼクティブブックサマリー,ITmedia]
エグゼクティブブックサマリー

ネットワーキング対ネットワールディング

 ネットワーキングのことはすでに知っていると思います。ネットワーキングは、大量にメールを送りつけることと大して変わりません。つまり、利益をもたらす人間関係が始まることを願って、出会った人全員に名刺を配ることを指します。多くの場合、ネットワーキングはストレスと疲労につながります。仕事と私生活の区別がつかなくなり、仕事と楽しみが同じことのように思えてしまいます。このような手当たり次第のアプローチが成功するのは、ごくまれのことです。

 では、従来のネットワーキングと新しいコンセプトであるネットワールディングは何が違うのでしょう? ネットワーキングとは異なり、ネットワールディングは、変化を起こすコンセプトであり、つながりが重要視される世界で特に有益です。ネットワーキングは、短期的で通常一方的な目標を達成するためのつながりを確立する、プロセスです。チャンスが限定的で、ネットワーキングによりつながりを頻繁に持つ人は多くの場合、ネットワークに参加している人を巧みに利用していると感じるようになります。

 その一方でネットワールディングは、幅広いチャンスを提供します。ネットワールディングは、相互利益を生み出すという目的に基づいて長期的な人間関係を築くことが求められます。ネットワーキングが一次元的であるのに対し、ネットワールディングは多次元的です。また、ネットワーキングが単一のやりとりに焦点を当てたものであるのに対し、ネットワールディングは同じような目的を持つ人とのより深い人間関係を築くことに焦点を当てています。

 典型的なネットワーカーであるロバートを例に見てみましょう。一生懸命働く外向型の人間であるロバートは、出版社の役員として成功しています。彼と同じコミュニティに属する企業リーダーは彼のことを尊敬しています。ロバートは、名刺や宣伝用景品などネットワーキング・ツールを常に携帯しています。しかし、ロバートは満足していません。ロバートには、ネットワーキングが彼の人脈をマイナスの方向に利用しているように思えるのです。

 今度は、ネットワールディングを使って充実したキャリアを築いたボニータを見てみましょう。ボニータは会計士として、貧困層の人々の経済を安定させる手伝いがしたいと思っていました。そして、貧困層の人々が経済的に成功するにはお金に関する教育がカギであることに気が付きました。そこでボニータは、貧困層を救うことに熱心な投資経験の豊富なプロとのつながりを築きました。

 ボニータはただ名刺を配るのではなく、彼女と似た目的と同じ価値観を持つ人を探したのです。ボニータは彼らとつながりを持ち、恵まれない人々に対し投資セミナーを開講しました。また、ネットワールド内の人間同士を紹介することによって、彼ら個人のプロジェクトも進められました。ボニータは、社会的に意義のある活動を行いながら利益を上げることができるとネットワールドのメンバーに示したのです。

 ネットワールディングには、特にコミュニケーションを図る場合、努力と目的と懸命な働きが必要です。ネットワールディングが簡単だという人は少数しかおらず、ほとんどの人はネットワールディングのスキルを学び、そのテクニックを使う方法を身につけなければなりません。初対面の人に会う時、自分の目的と価値観を明確に、そして簡潔に説明できなければなりません。そうすることで、同じ価値観を持った人が反応できるチャンスを与えることになります。 しかし、それには初対面の人に対し心を開く必要がありますし、それによって拒絶されることを覚悟する必要があります。それでも、この方法が自分自身を売り込む取り組みの焦点を絞る最善の方法です。反対に、ネットワーキングはもっと表面的です。ネットワーカーは多くの人と接触し、新しい人を紹介してもらえますが、有意義な人間関係を共有できる人は非常に限られています。

 あなたはネットワールダーになるために必要不可欠なものを持っていると思いますか? もし以下に記すことをいくつか、すでに行っているとしたら、持っていると言えるでしょう。

 ・共有する価値観、目的、信条に基づいて人と時間を一緒に過ごしている

 ・親しい友人に自分の目的を伝え、彼らの目的を理解している

 ・人と接触したら、その人と有意義な人間関係を築いている

 ・自分が属する人間関係の輪の中の人と、さまざまな形でサポートし合っている

 ・人間関係を活用し、相手と自分の両方に対しチャンスを生み出している

 ・人間関係の輪を広げ、さまざまな経歴やスキルを持った人をその中に加えている

 ・自分自身のリソースを埋めるため、仲間の専門知識を求めている

 ・相互利益を出せるプロジェクトを後押しする影響力のある人物とつながりを築いている

 ・人間関係の輪にいる人と、個人的で戦略的な同盟を結び、プロジェクトで協働している

 ネットワーキングとネットワールディングの違いについて実例を示しながら説明がされています。より深い人間関係、つまり互いに価値観や目標を共有し、その実現に向けて皆で協力体制を構築できることがネットワールディングの本質ということです。もちろん、それについての定義があるわけでもないのでしょうが、少なくともそれを指し示す要素を掲げていることはとても魅力あることと思います。これを一度じっくり考えてみるのも良いのではないでしょうか。

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