うつ病を理解し、乗り越える海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(2/3 ページ)

» 2011年06月08日 07時00分 公開
[エグゼクティブブックサマリー,ITmedia]
エグゼクティブブックサマリー

うつ病の一般的兆候

 うつ病とは重度の精神的苦痛であり、患者の身体的健康感を奪うものです。また、食事や睡眠のパターンを妨害し、活力を奪います。うつ病患者の大部分には、考え方、感じ方、行動、そして健康状態に何らかの形で症状が表れます。そして、このような症状は互いに関連しています。1つの症状が現れると、他の症状が続いて現れるのです。次のような症状が考えられます。

うつ病の兆候として現れる症状

 ・思考:うつ病患者にとって、思考は敵である。自己批判、絶望、消極性が絶え間なくうずまいている

 ・感情:恐れ、罪の意識、不安、自信喪失、心配などは、うつ病の一般的な兆候である

 ・身体的症状:睡眠障害、食欲の変化、性欲の減退はすべてうつ病の症状である可能性がある

 ・行動:子供や青年はうつ病になると、混乱を招くような行動を取ったりするなど、行動障害が表れることがある。また、大人は怒りっぽくなったり、注意散漫になったり、無気力になったりすることがあり、曖昧な身体的不満を持ったりする場合がある。さらに、うつ病の苦しみを和らげようとして、麻薬やアルコールに手を出してしまう人もいる

 気持ちの落ち込みと同時に、身体、感情、そして行動にまで異常が現れるのがうつ病の特徴です。

うつ病にはさまざまな形がある

 うつ病はさまざまな形で表れます。人によっては、長期的低度のうつ病である、気分変調になることがあります。気分変調は多くの場合、気が付きません。深刻なうつ病は、強い症状や時によっては自殺をしたいと思う気持が少なくとも2週間は続きます。また、双極性障害(そううつ病)は、高揚感を覚えたり、過活動になったりする状態と深刻なうつ状態の間を行ったり来たりする症状を指します。

 うつ病は、子供、青年、男性を含む誰もがかかる可能性のあるものですが、患者の大部分は25才から65歳の女性です。研究によると女性は男性よりもうつ病にかかりやすいことが分かっています。

 症状や、年齢性別である程度、うつ病の発症の形態が分かってきているということは興味深い事です。とはいえ、自分にはまったく関係ないと考えないことが大切です。

3つの要因

 うつ病の主な要因には「幼いころの辛い経験、生きるための厳しいルール、社会からのストレス」の3つが挙げられます。人は、幼少期に自己イメージを作り出します。無関心な親、あるいは虐待する親、親の厳しい支配的な振る舞い、あるいは愛情の欠如によって、子供は自己イメージを作る事ができなくなります。

 また、親の死など辛い経験からのトラウマも、もしその時子供が適切なケアや対応を受けられなかった場合、将来的にうつ病の原因になる可能性があります。

 人は、自分達の人生に上手く対処し、コントロールする手段として「生きるためのルール」を作ります。多くの場合、このようなルールは帰属意識や高い自尊心を育てます。しかし、もしそのルールが厳し過ぎる場合、きちんと守れないとうつ病になってしまう可能性があります。

 例えば、もし「自分に自信を持つには、誰からも好かれる人間にならなければならない」というルールを持っているとしたら、自分はとても好かれていると感じられた時のみ、成功したと感じることができます。逆に、好かれていると感じられなければ、自信を失くし、うつ病にかかりやすくなってしまいます。

 社会的環境もまた、うつ病の原因になりえます。粗末な住居、低所得、孤独感、支援を受けられないひとり親家庭など、社会的要素はストレスを与えます。しかし、研究によると、辛い時期に頼りになる親しい友人が1人でもいれば、誰も支えてくれる人がいない人と比べて、4倍うつ病にかかりにくいという結果が出ています。

 多くの研究で、脳内の生化学的変化がうつ病を引き起こすという結果が出ています。この変化には、遺伝的変化と進化的変化があります。遺伝理論は、遺伝的にうつ病にかかりやすい人がいることを主張しています。また、進化理論は、脳はある特定の刺激に対し、ある特別の形で反応を示すとしています。

 例えば、人は危険を感じた時、不安を覚えます。生物学的要因によってうつ病が発症した際、医師は特定の治療薬を処方し、神経科学的不安定を和らげる事ができます。

 うつ病の発症原因は、はっきりしているわけではありませんが、強いストレスを受け続けると発症するといわれています。考えてみれば、どんなに硬い物質でも、長期的に強い力がかかり続ければ壊れてしまいます。同じように、心にストレスという力が加わった結果、精神に異常をきたしてしまうのではないでしょうか。

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