明瞭さと冷静さ、そして勇気を持ってヒートアップした会議をまとめる方法海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(5/5 ページ)

» 2011年06月15日 07時00分 公開
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 4、目的意識を持つ

 もし明確な目的意識を持っていなければ、他の人の感情や都合によって、会議はめちゃくちゃにされてしまいます。そうなると、自分のリーダーとしての能力に疑問を抱いてしまうでしょう。自分が何のために居るのか理解するには、次の質問に対する答えから生まれる「指針となる意図」に従って下さい。

次の質問から「指針となる意図」を探求する

・世界にどのような貢献をするためにここにいるのか?

 個人差は大きいですが、この質問に対する答えによって、白熱した議論をより健全なものに変えることができます。自分の目標を理解することで、圧倒されてしまった時でも冷静に自分を強く持つことができるようになります。

・自分の仕事はどのような理念によって導かれているか?

 自分自身や自分の仕事について感じている価値観、想定、信念によって、自分の反応を引き出し、選択を導く際に使用するシステムが作られます。

・誰のためにここにいるのか?

 会議の場にいない人の役に立っている場合があります。例えば、チャリティー活動のための義援金を集めている場合、その受給者のことを考えて下さい。

・このグループは何を達成しようとしているのか?

 グループにとって成功とは何を意味するのか知っていれば、衝突が発生した場合でも会議の軌道修正をすることができます。

・この会議における自分の仕事と、自分の仕事ではないものは?

 会議のリーダーとしての役割を明確にして下さい。その役割は進行役、監視役、積極的な参加者など時によって変化することがあります。

 5、予測不能な事態を受け入れる

 会議中に予測していなかったことが起こっても、柔軟でいることが重要です(驚くような事が起こると新しい物事を学ぶきっかけになります。)

 予測不能な事態をコントロールしようとすると、ユーモアのセンスを失くしたり、会議が脱線すると不安になったり、諦めたり、あるいは予測不能な事態など発生しなかったふりをしてしまったりします。

 予測不能な事態に慌てないためには、一日を通して不快に感じる出来ごとに注意を払うようにしましょう。例えば、カスタマーサービスに電話をかけて長い間待たされ続けた時や、スーパーマーケットで長蛇の列に並んだ時などの自分の心理状態を観察して下さい。そして、自分がどのような種類の頑固さを会議に持ち込んでいるか考えて下さい。その頑固さをなくし、予測不能な事態が起こっても受け入れるようにすることが大切です。

 6、思いやりを持つ

 会議中に問題が発生すると、それから離れようとしたり、周りの人より自分は優れていると思ったり、周りの人を批判したりすることがあるかもしれません。そして、気が付くとチームメンバーに「不適格、操作的、あるいは愚か者」というレッテルを張ってしまうことがあるかもしれません。

 しかし、参加者は全員、会議の外にも生活を持っていることを忘れないでください。他人のことを完全に知ることなどできないため、1人1人に対し「無条件の肯定的配慮」を与えるよう努めることが大切です。

 「無条件の肯定的配慮」とは有名な心理学者のカール・ロジャースが考えた言葉で、「相手が何をしているかに関わらず、尊重する価値のある人物として相手に揺るぎない支持を与え、相手を受け入れること」という意味です。

 全員の意見に賛成する必要はありませんが、個人を尊重するよう努めて下さい。

 ここに書かれている6つの項目! これがすべてであるとは言い切れませんが、逆に言えば最低限これだけをマスターすることで、会議の進行をスムーズに進めることができると思います。ポイントは、常に客観的立場で会議の進行を把握しながら参加者の立場を考える事だと思います。

著者紹介

ラリー・ドレスラは、組織開発コンサルタントです。著書に「ConsensusThroughConversation」があります


プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長

鬼塚俊宏氏

経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。


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