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» 2011年06月24日 07時00分 UPDATE

ビジネスマンの悩み相談室:ぬるい部下に悩む上司その3 (1/2)

ビジネスにスピード感が求められる昨今、環境の変化を素早く感じ、つかんでいかないと顧客に置いてかれてしまう。ぬるい部下を目覚めさせる方法とは。

[細川馨(ビジネスコーチ),ITmedia]

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 前回、前々回にわたって「ぬるい社員」に対してどのように対応したらいいのかを話しているが、反響が大きい。今回も別の角度から「ぬるい社員」について考えてみたい。

<事例>

 ある印刷機器メーカーの営業部のK部長は、部下たちに「お客様の声に耳を傾けよう」といつも話している。

 ある日、以前付き合いのあったW社が印刷機の導入を検討していると聞き、部下のL君にどんなニーズがあるか聞いてくるように依頼した。

 「L君、W社の担当者に話を聞きに行ってほしい。そして、彼らがどんなものをほしがっているのか、聞き出してほしいのだ」

 「わかりました。頑張ってみます」L君は張り切って出かけて行った。

 W社を訪問してきたL君。戻ってから報告があるかと思ったが、何の連絡もない。K部長はL君に声をかけ、聞いてみた。

 「L君、どうだったかい? 」

 「担当者に会ったのですが、他社製品を検討していて、ほぼ決まりそうだというのです」

 「決定ではなかったのだろう。何か言っていたか? 」

 「価格がちょっと高く、大量に印刷しないとコストが高くつくと言っていました。W社はペーパーレス化が進み、印刷は極力減らしているようなのです」

 「それで君は何と言ってきた? 」

 「いや、もう他社製品で決まりそうだし、入る余地がないと思い、退散してきました」

 「え?! 正式に決まっているわけではないし、担当者が不満を持っていることも確かだから、何かしらできることがあるだろう」

 「でも、ほぼ決まりって言いますし……」


安全ボックスにいたがるぬるい社員

 「ぬるい社員」の特徴として、気付きが少ないという傾向がある。人が有益なこと、役立つことを言っているけれど、あまり深く考えず、それが自分の頭の中に入ってこないのである。「なぜ」と問いかけず、本質を探ろうとしない。

 L君の場合、せっかくクライアントから「価格がちょっと高く、大量に印刷しないとコストが高くつく」という声を聞いているのに、他社に決まりそうだからだと、その情報を受け流してしまった。打てる手立てはあるはずである。

 ぬるい社員はせっかく相手が発した大切な言葉をスルーしてしまう、重要だと考えずに聞き流してしまうことがある。

 改めて、ぬるい社員の言動にはどんなものがあるか、まとめてみる。

 ・スピードがない

 ・自分の知っている人とばかり付き合う

 ・向上心がない

 現在は世の中がすさまじい勢いで変化しているが、ぬるい社員はスピード感が欠如している場合が多い。自分のペースが乱されるのが嫌だということも言えるかもしれないが、環境の変化を自分で認識せず、自分のやり方で進めるのである。

 また、新しい人と関わることが得意ではなく、自分の知っている人とばかり付き合おうとする。本来ならば、いろいろな人と出会い、対話をする中で化学反応が起き、新たな発見が生まれるのに、自分の知っている人とばかり時間を過ごす傾向がある。知っている人といる空間が心地いいので、そこから抜け出したくないと思っている。

 向上心も乏しい。今の時代は立ち止っているのは、取り残されているのと同じことなのだが、それが認識できず、新しいことを学ぼうとしない。結果として、気づきが少なく、相手が重要なことを言っても、その重要性を分からず、スルーしてしまうのである。

 私はこのようなぬるい社員を「安全ボックスの社員」と命名したい。自分のエリア、安全な世界でのみ暮らしていたいと考えている。

 安全ボックスは答えのある社会であり、心地良い。自分がいる心地良い空間を求める。海外に行きたいという若者が減っていると言われるが、心地良い安全ボックスから抜け出したくないという傾向が起因しているかもしれない。

 安全ボックスから一歩外に出ると、さまざまなリスクがあるし、チャレンジもしないといけない、答えのない世界になる。ビジネスには答えはない。その世界で、自分なりに考えてベストな方法を模索していかなければいけない。人を育てるには、この安全ボックスから引き出す必要がある。

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