「モノの見方を変えないと行動は変わらない」――フランクリン・コヴィー・ジャパンの上條富彦氏ITmedia エグゼクティブ セミナーリポート

世界的なベストセラーである「7つの習慣」、そして「第8の習慣」に基づき、フランクリン・コヴィー・ジャパンの上條氏がリーダーシップのあり方について論じた。

» 2011年07月26日 07時00分 公開
[伏見学,ITmedia]

 1996年の発売以来、全世界で2000万部、日本でも130万部を売り上げている驚異的なベストセラーが、スティーブン・R・コヴィー博士が書いた「7つの習慣」である。仕事や人生で成果を上げるために必要なことを習慣として取り上げた成功哲学書ともいうべき1冊である。

 7つの習慣は、効果をどう発揮するかという点に焦点を当てたものであるが、今よりも1つ上のランクに行くこと、つまり偉大なリーダーになることを論じたのが「第8の習慣」(2005年)である。では一体、偉大なリーダーに求められる資質とは何か。

 アイティメディアは6月22日、企業の経営層に向けたセミナー「第16回 ITmedia エグゼクティブフォーラム」を開催した。基調講演に登壇したフランクリン・コヴィー・ジャパン シニアファシリテーターの上條富彦氏が、激変する時代におけるリーダーシップのあり方について言及した。上條氏は「人やものの見方を大きく変えるパラダイム転換がリーダーには不可欠だ」と強調した。

固定観念を捨てよ

フランクリン・コヴィー・ジャパン シニアファシリテーターの上條富彦氏 フランクリン・コヴィー・ジャパン シニアファシリテーターの上條富彦氏

 リーダーが目指す成果とは何か。この点について上條氏は、長期的かつ継続的な「優れた業績」、社員に代わって営業してくれるような熱烈なファンを生み出す「顧客ロイヤリティ」、社員同士が強く結び付き、一体化する「社員エンゲージメント」、そして、付加価値を出して他社と差別化する「独自の貢献」の4つを挙げる。これらを実現することで偉大な組織を作り上げることができるという。

 しかし、より大きな成果を出すためには、リーダー一人ではなく、他のメンバーとともに取り組むことが重要である。加えて、リーダー自身は今までとは違うものの見方(マインドセット)、違うやり方(スキルセット)、それらに必要な道具(ツールセット)を持たなくてはならないという。特に上條氏が取り上げたのがマインドセットである。

「誰もが個人の経験などから形成される固定観念や思い込み、先入観を持っている。しかし、見方が固定化していくと新しいものが見えなくなってしまう」(上條氏)

 例えば、2人のビジネスマンがいるとしよう。Aは「もうこの業界は伸びない」といい、Bは「この業界はまだ伸びる」と考える。その時にとる行動について、Aは今まで通りにすればいいと思い、Bは今までとは違うことをしようとする。その結果、Bはアイデアを発案しチャンスをつかむ一方で、Aはビジネスを縮小させてしまう可能性が高い。「見方が変わらないと、同じ行動をとり続け、結局、同じ結果に終わってしまうのだ」と上條氏は指摘する。

4つのニーズを満たし、働き方を変える

 では、どうすれば見方を変え、働き方を変えることができるのか。上條氏によると、基本的に人間は誰しも4つのニーズ(欲求)を持っており、それらがどのくらい満たされるかによって働き方が変わるという。ニーズとは、知りたい、学び成長したいという「知性」、仕組みや制度、労働条件といった「肉体」、円満な人間関係、安堵・安心という「情緒」、役に立ちたい、信頼されたいという「精神」である。これはリーダー自身の行動においてもそうだし、部下をマネジメントする上でも役に立つ視点である。

 社員が企業や上司に対して信頼が低い場合、こうしたニーズが満たされていない可能性が高い。例えば、経営の目的やビジョンが不明確だったり、官僚的でバラバラな組織だったりということが理由として挙げられる。そうした事態を招くリーダーはビジネス機会を大きく損なう恐れがある。

「経営理念を理解していないリーダーが部下にあれをやれ、これをやれと指示することがよくあるが、その部下の行動はまるで意味を持たず、ただ目の前にあるものを追いかけるだけになってしまう」(上條氏)

 これでは仕事に対して成果は出ず、部下のモチベーションも上がることはない。そうではなく、大きくものの見方を変えて、4つのニーズのすべての側面から“人を見る”ことが、リーダーにとって肝要であり、組織が一丸となって大きな成果を達成する原動力になるのだと上條氏は力を込めた。

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