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» 2011年11月25日 08時00分 UPDATE

伸びる会社のコミュニケーション:情報だけでは価値がない。何を語るべきか! (1/2)

情報を知っている。論理的に分析できる。それだけでは価値がない。情報価値を高めるには、1人ひとりの観点が重要だ。

[松丘啓司(エム・アイ・アソシエイツ),ITmedia]

 人は生まれて間もなくコミュニケーションを学び始めます。社会生活を営むうえで、コミュニケーションはあって当然の空気のような存在であるため、「コミュニケーションとは何か?」などという問いについて、わざわざ考えることはまれでしょう。今回は、そのコミュニケーションの定義から始めます。

コミュニケーションは情報のキャッチボールではない

コミュニケーションは次のコミュニケーションを引き起こしながら、進行します。1つひとつのコミュニケーションが繋がって、組織のコミュニケーションができているのです。その個々のコミュニケーションは、3つの要素によって構成されています。「情報」「意図」「理解」の3つです。それぞれについて説明する前に、簡単な例を見てみましょう。

わたし:「これが本です」

相手:「そうですね」

 この短いコミュニケーションで交わされている「意味」は何でしょうか? 英語の試験で、“This is the book.”の意味を書きなさいと問われると、「これがその本です」と答えるかもしれませんが、それは正確な意味ではありません。相手が述べている「そうですね」とは、どういう意味でしょうか? 「それは本ですね」という意味でしょうか?

matsuokabook.jpg 「アイデアが湧きだすコミュニケーション」

 「情報」とは、まさに言葉で伝えられる内容です。私が、「これが本です」と言えば、「これは本である」とうのが情報です。「コラムを読んでいただいてありがとうございます」と言ったなら、「コラムを読んでくれてありがとう」というのが情報です。コミュニケーションは、情報を人から人に伝える「キャッチボール」に例えられることが少なくありませんが、情報だけが伝えられているのではありません。また、情報だけでは意味がよく分からないのが普通のことです。

 人が何かを発言するには、理由があります。その理由は通常の場合、言葉では説明されません。けれども、聞き手にとっては、その言葉が発せられることになった理由や動機が分からなければ、意味がよく伝わらないのです。その理由や動機が、「意図」です。

 わたしが唐突に「これが本です」と言っても、皆さんにはその意味がよく分からないでしょう。その発言の意図が分からないからです。

 ところが、「わたしは最近、『アイデアが湧きだすコミュニケーション』という本を出したのですよ。本当ですよ」と言いながら、本を探しても見当たらない。嘘つきと思われたくないので、焦って探すが見つからない。そうして、ようやく本を見つけたときに発した、「これが本です」の意味は何でしょうか?その言葉の裏には、「わたしの言ったことは本当だったでしょう」という思いを伝えたい、という意図があることが分かると思います。

 「理解」とは、聞き手が情報と意図を同時に理解することです。1つのコミュニケーションは、聞き手が理解することによって成立します。そのとき、「これが本である」という情報と、「本当だったでしょう」という意図とを区別し、それらを統合して解釈することによって、はじめて発言の「意味」が理解されます。人はそのような複雑な処理を、瞬時に行うことができるのです。

 「これが本です」の意味を理解した相手が発した「そうですね」の意味は、単に「それは本ですね」ということではありません。「あなたの言ったことは本当だったのですね」という意図を伝えようとしています。

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