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» 2011年12月05日 08時00分 UPDATE

戦略が確実に実行され、業績が上がる組織の動かし方:戦略を実行する第2ステップ―組織の成功循環モデルを知り、リーダーシップを強化する (2/2)

[細川馨(ビジネスコーチ),ITmedia]
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フィードフォワード

 「関係の質」を高める重要性を認識したうえで、必要ならばリーダーは自分を改善していかなければいけない。ここで自身を改善するうえで役立つビジネスコーチングの手法を紹介したい。

 まずは、フィードフォワードという手法である。フィードフォワードとは、その言葉からも分かるように、フィードバックの反対の意味を持つ言葉である。私たちの言動には、自分では気付くことができない改善点が数多くあるものだが、ビジネスパーソンとして成功するには、周りの人からフィードバックをもらい、自身を改善していくことが欠かせない。

 しかし、人間は素直にフィードバックを受け入れにくい傾向にある。例えば、1000人の人がいたとしたら、周りの人からのフィードバックを受け入れて、行動変革をしようとする人は、おそらく3〜10%程度だろう。残りの90%以上の人は「自分は正しい」と自己を正当化したり、フィードバックをくれた人に対して負の感情を抱いたりしてしまう。

 実際にフィードバックを受け入れて改善するというのは、やはりむずかしいものである。そこで、実践してもらいたいのが、フィードフォワードという手法である。フィードフォワードとは、簡単に言えば、自分が変革するためのアイディアを周りの人からもらうことである。

 フィードバックは、過去の言動に対して、周りの人から意見をもらうものだが、過去というものは変えることができない。ならば、自分の未来をどうしたいのか、これから自分がどう変わりたいのかを自分で決め、それに取り組んでいくほうが、はるかに意味がある。

 フィードバックとフィードフォワードの違いは次の表のとおりである。

■フィードバックとフィードフォワードの違い

フィードバック フィードフォワード
過去形 未来完了形
過去にどうしたかを教える 将来実践できるアイデアが出る
誤りや欠点を話す 問題ではなく解決策に焦点を当てる
優位に立つ人が批判する 職場の仲間が互いを助け合う
その人固有の問題として捉える その人固有の問題として捉えない
苦痛、恨まれる、仕返し 許可、守られる

 フィードフォワードはどのように行ったらいいのだろうか。

 まず、最初に自分が改善したいと思うことを1つ選ぶ。そして、なぜ自分が変えたいと思うのか、その理由を信頼できる人に説明し、相手に変えるためのアイディアをもらう。ポイントとしては、できるだけ多くのアイディアをもらうことである。

 そして、相手がくれたアイディアを注意深く聞き、必ず「ありがとう」と言う。どう考えても役に立たないようなアイディアであっても、「ありがとう」と言う。なぜなら、数多くのアイディアをもらうことで、それについて自分自身で考えることが大切だからである。考えたうえで自分が役に立たないと思ったならば、実践しなければいいだけのことである。

 フィードフォワードの実践方法をまとめると、次の図のとおりです。

<フィードフォワードの実践方法>

Step1 あなたにとって重要なことで、変えたいと思う行動をひとつ選ぶ。

Step2 その目的をあなたの知っている人に直接信頼できる人に、説明する。

Step3 その人に、こうなりたいと思っていることを達成するために、役立ちそうな提案をしてもらう。

Step4 アイディアを注意して聞く

Step5 「ありがとう」と言う


マネジメントを知る

 ドラッカーは次のように言っている。

 「マネジメントとは、仕事の絆で結ばれるコミュニティとしての組織において機能すべきものである。マネジメントの最大の関心事は人材のマネジメントである。マネジメントは成果に責任を持つ」(出典:『ドラッカー 365の金言』P.F.ドラッカー著 ダイヤモンド社)

 一方で、私が懇意にしているアメリカのエグゼクティブコーチの第1人者であるマーシャル・ゴールドスミス氏は次のように言っている。

 「リーダーとは、他の人とともに目的達成に向けて進む人。「他の人とともに」という言葉が大切です」

 リーダーは成果を出さなければいけない。しかし、そのためには、「他の人とともに」という視点を持ち、関係の質を向上させることを心がけなければならない。

 今回は戦略を実行する第2ステップとして組織の成功循環モデルを知り、リーダーシップを強化することについてお話しした。次回は戦略を実行する第3ステップとして、組織の人材を分析するということについてお話しする。


著者プロフィール

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細川馨(ほそかわ かおる)

ビジネスコーチ株式会社代表取締役

外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。

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