【新連載】もしあなたが90歳以上なら：キャリアプラン 90歳までの現役計画（2/2 ページ）

[郡山史郎（CEAFOM），ITmedia]

将来に不安はない

　老人は将来が不安だ、とか、高齢者の自殺が多いとか言われているが、それは努力や苦労が足りないからだ。生きて、苦労をして初めて人生の味も分かる。うつ病や自殺願望者に、がんばれというのは禁句らしいが、苦しいことを切り抜ける習慣を日頃から身に付けておくといい。我慢ができないから、病気になったり、自分で死んだりするのだ。どんな苦労も、我慢していれば慣れるものだし、工夫して楽しむこともできるようになる。

　自分の世代の女性は、専業主婦が多くて、一人になると、将来が不安だという人が多いが、実際は、そうではないだろう。主婦は家事はできるし、男性より病気や外圧に強い。不平を言っているとしたら、文句を言う相手がいないので、世間に出て言っているだけだろう。専業主婦の時代は終わりだから、これからの女性はさらに安心だ。自分のことは自分でできると、何歳になっても平気だから。

　介護など、本来してはいけないし、されてもいけない。介護しても、世の中のためにはならないのでできるだけしないほうがいい。どうしても体の動かない人は一カ所に集めて、設備をつくって共同生活をさせたらいい。それまでは、自分のことは自分でやらせる。在宅介護は、小学校の生徒を、教師を派遣して自宅で教育するのと同じくらい馬鹿げている。

　近代医学はたいていの病気は治してしまう。定期的な健診をやり、医者が商売上の理由でやたらに勧める検査をいやがらずに受けて、製薬会社の巨大な富にさらに献金するための薬をきちんと飲む。すると、交通事故にでも合わない限り、今の日本では、100歳以上まで生きてしまう。幸いにして、老衰に効く薬はないので天国には必ず行ける。

　病気で若死にする人が多いので、困っている。知り合いの若いのが(77歳のわたしのこと)、入院したり、手術したりしているので、よく見舞いの電話を掛けるが、あれは鍛練と用心が足らんからだ。それなりの努力をすれば、病気になるはずがない。ぴんぴんころり、なんてとんでもない話で、元気のあるうちは働かなくてはいけない。人は老衰で死ぬのが一番自然だ。

　お金があるからでしょう、と言われるが、自分は生涯、大きなお金を稼いだことも、もらったこともない。日本のへき地の、親譲りの家に一人で住んでいるので、ほとんどお金は掛からない。食べるものも僅かだし、着るものなど、ここ10年くらい買ったことがない。蓄えと年金で暮らせてしまう。貯金と健康は、何より大切。お金は、欲しいと思っても貯まらないが、おしいと思ったら、必ず貯まる。

　長生きしたら、幸せかというと、そんなことはないと思う。長生きは結果であり、その途中が不幸なら、懲役と同じで長いほど、苦しい。若いうちに、自分から進んで、うんと苦しい目にあっておくと、年をとってから、ああ、あれが幸せということだったのか、と分かる。そうすると今がますます幸せになる。途中をいつも幸せにしておく必要がある。

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　こんな調子です。90歳まで現役でもこんなにはなりたくない見本でしょうが、ここまで生きれば、当人としては目標達成です。わたしは、90歳以上で、不幸な人を見たことがないので、まず90歳まで現役でやって、90歳以上の人生を体験してやろうと思っています。きっと、別な考えで、違った場所で、異なった暮らし方はしているでしょうが、わたしなりに、幸せになっているのではないかと感じます。あなたはいかがですか、一緒にやりませんか。

著者プロフィール

郡山史郎

株式会社CEAFOM代表取締役社長

1935年鹿児島県生まれ。一橋大学経済学部卒。1959年ソニー入社

スイス、米国に市場開拓マネジャーとして通算12年滞在。米国大企業に転じて、日本代表、北アジア担当、複数の関連会社の社長を歴任。1981年にソニーに復帰し、取締役情報機器事業本部長、常務取締役経営戦略本部長、資材本部長、一般地域統括本部長など歴任。2004年株式会社CEAFOM創業。

国際大学、早稲田大学、一橋大学、九州大学など講義、講師多数。外国人記者クラブ、証券取引監視委員会など講演多数。著書、「ソニーが挑んだ復讐戦」。

ソニー創業者、井深大、盛田昭夫、大賀典雄の直属幹部として永年経営に参加し、社長賞4回の実績あり。現在、多くの企業に対し、経営全般、グローバリゼーション、事業企画などのテーマでアドバイスを行い、また、役員、幹部社員の研修講演なども行っている。