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» 2012年07月20日 07時00分 UPDATE

松浦尚子のワイン&コミュニケーション:ワイン選びの3つのコツ! 7月に味わいたい「ソーヴィニヨン・ブラン」

ワインを選ぶ基準として食事、地域、ブドウ品種があるが、この夏お薦めのブドウ品種からワイン選びを楽しんでみましょう。

[松浦尚子(サンク・センス),ITmedia]

 夏本番の7月を迎え、毎日暑くなってきました。港区白金にあるサンク・センス ワインショップでは、毎週、色々な種類のワインを入荷し、グラス一杯500円でまずは気軽に試してもらっています。実際、ワインの味はコルク栓を抜くまで分かりません。安くてもそれなりの値段はしますから、失敗したくないのは当然のこと。しかし、気になるアイテムが試せるケースはいいものの、そうでない場合は、何を基準にワインを選んだらよいでしょうか?

 一番に挙がるのが、やはり今晩のおかず(笑)。本来、ワインの重要な役割は食事を引き立てること。メインの料理は魚なのか肉なのか、調理の仕方やソースも大切です。献立が決まっていれば、お店の人に相談しながら料理に合うワインを選びたいもの。次に、産地で選ぶのも良いでしょう。

 今月、当社ワインスクールの定期テイスティング会で、フランス、スペイン、アメリカという人気の3カ国の銘醸地から赤ワインの飲み比べをしました。ざっくり国別ですが、実はお国柄は面白いほどワインに表れているものです。長い伝統により培われた落ち着きと丸みのある上品な味わいなのか、太陽をふんだんに浴び高いアルコール度数を持つ豊かな味わいなのか……。良質なワインほど、それぞれの土地が持つ気候風土を反映した出来になっています。ワインを片手に世界を旅する気分に浸れるものそのおかげでしょう。

 3つ目が、ブドウ品種の存在です。世界には数えきれないほどのブドウ品種がありますが、ワインにして美味しい、さらに樽で長期熟成できるような優れた品種はごく一部です。自分の好きなブドウ品種を見つけ、ワイン選びに役立てれば大きな失敗がありません。

 先週末ワインショップでは「ソーヴィニヨン・ブラン」という白ブドウ品種を使った、この時期にぴったりの爽やかな白ワイン3本に注目しました。ひとつ目は、本家とも言えるフランス・ロワール地方から「サンセール シレックス ドメーヌ・ミッシェル・トマ」を。次に、新興国の中でも新しい名産地として脚光を浴びるニュージーランド・マールボロ地区から「ダイヤモンド・リッジ」の一本を。そして、意外性のあるところで、チリの海沿いの冷涼な気候を持つシングル・ヴィンヤード(単一畑)で収穫されたこだわりのソーヴィニヨン・ブランの3種を飲み比べました。

 結果、千円台半ばという手頃な価格もあり、売れ行き第1位はニュージーランドワイン。しかし、ほぼ3千円の比較的高めの価格ながらサンセールも健闘しました。ニュージーランド産は、ソーヴィニヨン・ブランのワインらしいグレープフルーツやライム、レモンなどの柑橘系果実の香り、ハーブなど青草を思わせる香りが中心で、ハツラツとして裏表のない明るい少女のようなイメージです。

 一方で、サンセールは柑橘系果実やハーブ以外にも、甘さを感じる優しい白果実の香りや、ミネラル感、火打ち石の香りと呼ばれる鉄砲の硝煙を想起させる香りなど、複雑さと奥行きがあるエレガントな一本でした。普段はスッキリしたソーヴィニヨン・ブランが好きという方にも、上級のワインだけが持つこの醍醐味を味わってもらいたいです。

 チリのソーヴィニヨン・ブランは、アルコール感があって力強く、燻製(スモーク)した香りを思い起こさせる、樽熟成の厚みあるタイプでした。それぞれに、飲むシーンや合わせる食事に応じて選ぶと良いでしょう。同じブドウ品種を100%使ったワインでも国や産地が違えば少しずつ印象が異なるのがワインの面白いところ。まずは好きな品種を見つけて、香りや味わいの違いを意識して楽しんでみてください。

著者プロフィール

松浦尚子

(有)サンク・センス 代表取締役社長

ボルドー国立大公認ワインテイスター

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神戸大学教育学部卒。教育・出版会社ベネッセコーポレーションに勤めた後、フランスに渡り、世界の権威であるボルドー大学ワイン醸造学部が主宰する、日本人では数少ないワインテイスター専門家資格を取得。広島県の第3セクターのワイナリー設立にかかわり、米国・ボストンを本拠地とする投資会社に籍を置いて、日仏間で働く。通算5年間フランスに滞在した後、2002年秋に帰国。滞在中には、難関フランス文部省認定のフランス語資格試験DALFも全て取得する。帰国後、2003年4月に有限会社サンク・センスを設立し、代表取締役に就任。「フランス、ワイン、食」をテーマに、さまざまな切り口からこれまでにない発想でワインセミナー、イベントを中心にプロデュースを行う。2005年1月に立ち上げたサンク・センスワインCLUBには、ワインを軸に旅やグルメ、趣味など幅広い分野に関心を持つメンバーが集い、これまでにない質の高いコミュニティを形成している。また、フランス大使館主催事でのプレゼンターや六本木ヒルズクラブでのワイン講師、経営者を中心としたビジネスマン向けのワイン講演も数多くこなし、実績は多数。これまでに取り上げられた新聞、雑誌、ラジオ出演は数え切れない。富裕層向け雑誌や、大手都市銀行が運営するビジネス情報サイトなどでコラム連載も手掛け、多彩に活躍している。


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