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» 2012年08月21日 08時00分 UPDATE

グローバル時代を生き抜くスマートリーダー術:個人のためか、チームのためか (1/2)

オリンピックには団体戦と個人戦があり、それぞれの戦い方がある。個々の能力は必要だが団体ではまた別の力学が働くようだ。

[林正愛(アマプロ),ITmedia]

 ロンドンオリンピックは盛り上がったのではないでしょうか。日本は過去最高の金7個、銀14個、銅17個、計38個のメダルを獲得しました。メダルの獲得数では、アメリカ、中国、ロシア、イギリス、ドイツに次いで第6位です。わたし自身はスポーツ観戦が大好きで、いろいろと堪能しました。小さい子どもがいてなかなかタイムリーでは見られなかったのですが、ダイジェストや再放送などで楽しみました。

 今、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科で学んでいますが、英語で行われる留学生たちとの授業で「Global Society(グローバル社会)」という科目があり、そこでオリンピックについても話す機会がありました。やはりオリンピックはグローバルを強く感じる瞬間ではないか、とみんなで話しました。

アスリートたちのグローバルな環境

 オリンピックでは、選手たちは国を代表して闘うので、もちろん国籍はとても大切です。ただアスリートたちの人生はマルチナショナルになりつつあり、どの国のために闘い、どの国がメダルを手にするかというのは、より複雑になっています。

 2012年8月11日のNew York Timesで「For Many Athletes, One Nation Won't Do」という記事が掲載されていました。

 200メートルのフリースタイルで銀メダルを分かち合った中国のSun Yang(孫楊)と韓国のPark Tae-hwanは、2人ともオーストラリアでトレーニングをし、オーストラリア人のコーチから指導を受けています。100メートル背泳ぎの金メダリストのアメリカの17歳のMissy Franklinは、両親は2人ともカナダで生まれて育ち、両親はかつて彼女をカナダの代表として泳がせることを検討したとも言います。

 オリンピックの選手たちの中には、自国の選手よりも、一緒にトレーニングをしている他の国の選手と強い絆を感じている選手もいます。韓国のParkの場合、オーストラリアの個人メドレーのスターのStephanie Riceととても仲が良いそうです。

 1990年代の共産主義国の崩壊以降、多くの才能あるコーチたちが世界中に散っていき、すぐれた選手たちを育ててきました。「われわれはスポーツのグローバライゼーションの只中にいる」とフランス水泳ナショナルチームのディレクターのChristian Donze氏は言います。

 国籍はスターアスリートにとっては象徴でしかない。Maria Sharapovaはロシアで生まれたものの、小さいときにテニスのチャンピオンになるためにフロリダに移り住みましたが、いまだにロシア代表として活躍しています。両親、自分のルーツ、ロシアのアイデンティティを大切にしたいと思っているようです。

 ただ、一方で、複雑な感情を持つようになるのも、また宿命です。200メートルのフリースタイルで銀メダルを取った孫は中国で大スターになりつつありますが、オーストラリアに住み、オーストラリアのチームとトレーニングを行っています。200メートルのフリースタイルのレースで横にいたのは、中国の選手ではなく、オーストラリアの選手たちでした。彼のコーチはオーストラリアのDenis Cotterellです。

 彼にとって、選手たちはどの国だろうと「彼らはわたしのアスリートたち」であり、彼らが頑張ってくれるのは嬉しいと言います。彼はオーストラリアのナショナルチームのコーチをしていますが、コーチをしている中国の選手たちと話をすることは禁じられていません。


 個人的なことで恐縮ですが、わたしはフィギュアスケートが好きなのですが、2011年に世界選手権で優勝した安藤美姫選手が指導を受けていたのがロシアのニコライ・モロゾフコーチ。ただ、2014年のソチ冬季オリンピックに向けて選手を強化したいロシアが、ロシア選手のコーチを要請してロシアに戻ったと聞きます。

 日本のシンクロナイズドスイミングのコーチだった井村氏が中国のナショナルコーチになり、ペアで3位、団体で2位という目覚ましい成績を上げ、スポーツの世界のグローバル化をまざまざと感じます。実にマルチナショナルで複雑です。

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