マニュアルはどう作るかマニュアルから企業理念が見える(1/2 ページ)

マニュアルを作成する場合に、最も大切なことはマニュアルがそれ自体で独立しているものではないという点である。4つの機能と3つの目的を確認して進めること。

» 2012年08月24日 08時00分 公開
[勝畑 良(ディー・オー・エム・フロンティア),ITmedia]

 マニュアルを作るためには、まず企業内におけるマニュアルの位置づけを明確にしなければならない。 企業内には、文書体系として次の3つがある。

 1つ目は経営者が所管する文書である。この文書は経営者の判断を仰ぐことなく改定することはできない。すなわち、全社員の行動規範となっている文書である。社是、社訓、経営理念、経営基本方針に係わっている。

 2つ目は管理者の責任で保管されている文書である。その職場に所属する成員が、それを規範とせねばならず、さまざまな内容が規範、標準、規定などの名のもとに文書化されている。

 3つ目は行動指示書である。一般的にはこれをわれわれはマニュアルと呼んでいる。多くの場合、これらは作業の性格に応じて業務マニュアルとか作業マニュアルと呼ばれている。いわゆる狭義のマニュアルである。マニュアルの概念はもっと広く、上記の3つを合わせてマニュアルと呼ぶ場合もある。

 マニュアルとは、それ自体が独立して存在するものではない。全社的な文書体系の中に位置づけられるものである。つまり、経営者、管理者が自らの判断で文書体系の中から抽出し、企業の現状からみて最上だと思う行動基準や期待可能水準を書き抜いて作成するものである。その中で該当業務の位置づけは変わるであろう。またどう遂行していけばよいかの指示も、上位者から作成責任者に伝達されるであろう。

 マニュアルを作成する場合に、最も大切なことはマニュアルがそれ自体で独立しているものではないという点である。マニュアルは、常に社会的評価にさらされている。そのためにも、全社的観点の中で検証されていなければならないということである。 できれば、マニュアル全体を統括的に管理している組織が設置されていることが望ましい。

 マニュアルと経営全体の枠組みとの関連において、忘れてはならないことがある。それは経営の組織、システムとの関連性の把握である。この観点に配慮しないまま意欲だけで、マニュアル制作に踏み切ってしまうと作成されたマニュアルは立派だが、そのマニュアルは全体との関連の中で宙に浮いた存在となってしまう。そのマニュアルが経営全体の中で、どこで、どのように活用されるものなのか分からない存在となってしまう。

 マニュアルはいつでも経営者、管理者の注視の中にいなければならない。マニュアルを使用するのが一般者だという理由で、これを蔑ろにしてはならない。どのようなときにも、組織の上位者がマニュアルに注目しているのだという意識を使用者が持たないならば、マニュアルは上位者の独りよがりの道具となってしまうだろう。

 マニュアルを使っている自分をマニュアルを通じて組織の運営責任者が見てくれているという考え方が組織の常識になっていくのである。その時、初めてマニュアルを通じて組織への信頼感が、社員の間に醸成されてくるのである。

 この信頼感がなければマニュアルの改訂は一方通行になってしまう。アイデアを頻発するすぐれた経営者をもつ企業の改訂はいつでもマニュアル作成者からである。マニュアルの使用者はこれを必ず押し付けと認めてしまう。マニュアルの改定は、6 割が使用者からの発議でなくては死んでしまう。

 通常の経営を行っている企業ならば、上位者の意向は重い。会社は言われればその通り実行するのが常識である。 しかし、関心をもたれていないマニュアルは、こうならない。その通りやっている振りをされてしまうのである。

組織、システム、マニュアルの関係は、図示すると次のようになる。

「組織、システム、マニュアルの関係」
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