異文化についての知識世界を股にかける!──A global player!

海外は自国の文化と異なるという、当たり前の認識ができていない人が多いと感じています。

» 2012年08月31日 12時00分 公開
[ジャスミン・A・ワグナー,ITmedia]
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 異なる文化において特徴的な行動を知るための、最も重要な第一歩は、文化の違いに気付くことです。外国へ旅行する人の多くが現地の文化についてほとんど知らず、さらには異文化に対する知識がないこと自体を認識していません。海外出張などに行くと同じようにその場所に訪れている観光客を目にする機会があると思いますが、彼らも地元の文化には無知であるように見えます。ただ、こうした人々は、名所や自然を満喫するために当地に来ている、純粋な観光客なのです。

 文化が違えば人も異なることを理解すれば、次の段階へ進めます。この段階に進めた人は、さまざまな違いは文化的影響によるものだという心構えを持って他国を訪れています。それでも誤解は生じるかもしれませんが、行き違ってしまった後でも問題を解決する余地は残っています。

 文化的差異を認識するだけでなく、違いを理解し、学ぶ努力をするなら、誤解が生じるリスクを最初からなくすことも可能になります。他国の人々が、自分が見知っているのとは違う反応を特定のシチュエーションで返してくるとあらかじめ知っていれば、ネガティブなリアクションを取られる危険をおかさずに済み、誤解を回避する確率もきわめて高くなるわけです。

 シンガポールやニューヨークのような、多種多様な異文化が共存している、いわゆる人種のるつぼでは、人々は文化の違いをうまく利用してきました。自らの文化を他者にも受け入れられるような形に変え、それに適応してきたのです。異文化を混ぜ合わせることにメリットを見出し、他者の文化には何が受け入れられ、何が受け入れられないかを学んでいるわけですね。こうして他者の文化にとけ込んだ人々の中から、異なる文化の橋渡し役となるエキスパートが現れ、自国や外国で文化交流の促進に貢献するケースもあります。

 異文化に対する知識は、第1に違いを認識する、第2に他者の文化について学ぶ、第3に異文化交流の担い手となるスキルを身に付けるという3つの段階を踏んで養われるものであることを覚えておいてください。

著者プロフィール

ジャスミン・A・ワグナー(Jasmin A. Wagner)

ドイツ、ハンブルク出身。2歳の時に両親とともにヨットで世界一周の旅に出発。その後15歳になるまで世界30カ国以上を訪れる。この旅についてのニュースは世界中で評判になり、韓国で絵本が出版され、日本でも多くのメディアで紹介される。アジアには10〜15歳まで滞在。そのうち4年間は奄美大島に滞在。その後も両親は旅を続け、自分は1人でドイツに帰国。優秀な成績で学業を修め、経営管理学ディプロマ Diplom-Betriebswirt(BA)を取得。ドイツの有名自動車企業に就職後、28歳でエグゼクティブに抜擢される。

世界中の支社で働くうちに、それぞれの国に大きな特徴、強み、弱みがあることに気づく。コミュニケーションスキルでビジネスの成功に大きな差が出ることを痛感。ニューヨークにてイメージコンサルティングスキルを学ぶ。キャリアの傍ら、グローバルコミュニケーションやイメージコンサルティングセミナー、トレーニングを展開する。独、仏、英語、日本語を話す。空手初段。


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