「出る杭」活躍必須の激変環境ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2012年09月13日 08時00分 公開
[ルース・ジャーマン・白石,ITmedia]
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今の「既存」は過去の「チェンジ」

 しかしYesの姿勢と同時にリーダーは既存のものの背景とキッカケを理解し(Understand)説明できるようにならないといけません。「そうなっているから」という答えが全く通用しない時代になっているからです。既存の方法などにはそれなりの背景と裏付けがあります。以前の「出る杭」が考えてチェンジを起こしながら導入した制度やルールを簡単に捨てるのも危険だし、背景などが分かれば、ちょっとした工夫で問題解決ができることが多い。

 そしてリーダーであればあるほど普段から「既存」に対しての疑問を持ち「どうして必要か」を常に意識しているのであれば、新しいチェンジメーカーに疑問を投げられた際、躊躇せずに「歓迎」の気持ちで冷静に話し合うことができます。ポジティブに新しいアイディアを受け入れるためにも、既存についてのUnderstandが必要です。

 また、当たり前ですが、チェンジを起こそうとする人は「新規」の提案を持ってきます。新しいイコールUnique、特別な案であり、特別だからこそ成功事例や確実な成果見込みはありません。リーダーはまたまたYesな姿勢で「そういうこともありますね」とか「新しい感覚ですね。さすが!」と新提案を歓迎すれば、チェンジメーカーに勇気が湧き、ますます型破り的な発想が生まれる組織になります。

 次の「Knowledge」というのは部下や同僚に対しての情報発信です。新しい発想が生まれやすい環境は知識豊富な環境である。情報収集を自ら行い、幅広い知識を身に着けることを会社の全員に徹底させることが大事です。「情報社会」という文字通りの経済環境なので情報を吸収し、その情報量をKnowledgeに噛み砕く訓練をさせてあげる役割を果たします。

 朝会や飲み会などで本とかニュースについて話し合い、世界のトレンドがどのように自分たちのビジネスと関連しているか、お客様への影響などさまざまな角度から一緒に考えたりします。Knowledge重視とともにYes,Understand,Uniqueを実践していれば、日ごろの情報が新発想に進化します。

 最後はInnovation(進化)です。タオルのたたみ方や電話での応対フレーズの変更やお客様対応への新しい工夫など、現場のどんなに小さな動きと試みでも立派なInnovationといえます。小さいイノベーションの積み重ねが大きなチェンジに結びつき、企業の将来を確実にするのです。

 そのため、リーダーがメンバーの小さなイノベーションを発掘する仕事は重要であり、それを見つけた時の励ましがチェンジメーカーの貴重な勇気付けになります。メール中のちょっとした親切、お客様のためになる情報提供、朝の挨拶、身だしなみへの配慮、声のはり度合、机の清潔感などなど、業務改善と自分改善のための努力とイノベーションに誰よりも早く察知し、声をかけるようにしたいものです。

 小さな努力を大きく評価すると不思議なことに、みんなが小さな努力を気付くようになり、勇気付け合える、逆行に耐える組織力ができあがり、個人レベルでも企業レベルでもポジティブな軌道に乗っていきます。

 YUUKIを実践し、常に励ましあえる環境を築き上げれば世界がどんなに激変状態になっても心強く立ち向かっていけます。世界に向けて、みんなで堂々といきましょう!

著者プロフィール:

ルース・ジャーマン・白石

ハワイ出身。1988年にボストンのタフツ大学国際関係学部からリクルートに入社し、以来24年間日本に滞在。1992年に日本語能力試験1級を獲得する。2011年までスペースデザインに在籍し、業務委託営業担当→フルコミッション営業担当→営業課長→営業部長→取締役・営業本部長として、来日する外国人向けの家具付きサービスアパートメントを新規事業として東京・横浜・ドバイにて開発・運営業務に携わる。10年間の間、年間1000名以上の外国人ビジネスパーソンと接することで、日本のビジネスとライフスタイルの優れている点がより明快となる。2006年に、欧米系女性として初の宅地建物取引主任者となり、公益財団法人日本女性学習財団評議員と一般社団法人HRM協会の理事に就任。2012年4月よりジャーマン・インターナショナルを起業。7社のパートナーと組み日本のグローバル化のサポートと外国人集客ノーハウを生かし企業の収益増加に貢献する。18歳と14歳の子供の母としても次世代の幸せを念頭に置きながら新しいチャレンジに取り組む毎日を生きる。「日本人が世界に誇れる33のこと」(あさ出版)は日本滞在中に出会った日本人の素晴らしいところの結集となりグローバル化をこなしていただきたい日本人の皆さんへのエールであり、2カ月で4版となるほど多くの方の手に行きわたっている。また、「世界に行ってみたらホントはこんなトコだった!?」(フジテレビ)、「エコの作法」(BS朝日)、街づくり関連の講演など、各方面で活躍中。


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